これまでのお話
リビングのソファーの前に抱き降ろされて、翔ちゃんの肩に両手を掛けたまま首を傾げてそう聞くと、チュッと軽くキスを落とされた。
モット フカク ・・・
頭の奥がジンジン、グルグル、意識を持っていかれそうなほどに、翔ちゃんの舌が太く・・・逞しく、おれの舌を求めるように一気に攻めてくる・・・
激しく押し入られ、吸われ、そして甘噛みされる。
Lurked Gloom【1】
[8月XX日 土曜日 23:30 Side A]
「どぉする?しょぉちゃん、ちょっと飲み直す?飲んで来たんでしょ、マツジュンと。結構飲んだ?」
「飲み過ぎて悪酔いするとこだったぜー。フフッ、なんてな、うっそ!そんな飲んでねェよ。タクシー捕まえる前に軽く走れた程度の酒だよ。雅紀の顔見たら安心した。一杯もらおっかな、お前も付き合えよ。」
ははははと笑う翔ちゃんを見てたら胸の奥のところがギュウゥ、ってして、思わずもっと・・・って、衝動を抑えられなくて。
翔ちゃんのシャツの胸のトコを掴んで、自分からキスをせがんだ。
「ね・・・シて・・・? もっと・・・」
ふわっと、上下の唇を包まれるような優しいキスが落とされる・・・
けど・・・
違う・・・
おれが欲しいのは
こんなキス・・・じゃなくて・・・
カンジ アイ タ イ ・・ノ・・・
唇をうっすらと開いて
翔ちゃんの唇を舌でなぞる
あれ・・・?
なん・・・で?
いつもならすぐにでも翔ちゃんの舌が迎えて来て逆に追いかけられるくらいなのに・・・
翔ちゃんの首に腕を絡めて距離を縮め、顔を傾けて舌を唇の隙間にねじ込んだ。
翔ちゃんは首の後ろに力を入れてなんだか抵抗してるみたい。
なんでか分かんないけどキスのガードを固くしてる翔ちゃんの、歯列を舌でゆっくりなぞりながら、頭の隅でさっき自分が言った『おれのこと抱ければいいって思ってるのかと』っていうくだりを思い出す。
あぁ、そうだ。絶対そうだよ。キマジメな翔ちゃんのことだから、ソコ気にしてるんだって。そうじゃなきゃこれだけ唇を重ねてるのに一回も深いのしてくれないなんて翔ちゃんらしくもない。
別にもういいのに。
ていうか、仲直りした今はクるとこでしょ。
よぉし、翔ちゃんがそのつもりならこっちだって・・・!
回した腕をさらにキツく回し直して、唇を甘く吸う。翔ちゃんはキスする時顔を見たがるから今も見てるはず。
わざと見えるような角度で半分開いた口を離して目を合わせる。
ゆっくり目を伏せながら翔ちゃんの左の首筋に舌を沿わせて、同時に右手を首の後ろから背に伝わせて、腰まで下ろしてきてからグッと引き寄せる。
翔ちゃんのカラダがピクン、て反応した。
よし、もうちょっと。
右腕で腰を引き寄せながら、自分の腰も擦り寄せる。
翔ちゃんの肌感を舌の先で楽しみながら左手でサワサワと髪を弄ると、おれの腰に回された翔ちゃんの両腕にギュって力が入って
「・・・っ、」
浅く息を殺したのが分かった。
Vネックのラインに沿うように鎖骨を味わっていた唇を離して翔ちゃんを見ると、さっきまでの優しい眼差しだったその瞳の奥にチラリとオスの光を見た気がして腰の後ろがゾクリと疼く。
「しょ・・・」
引き合うように唇が触れ、翔ちゃんの右手に後頭部をロック、され、た。
「・・・っんっ。・・・ぅんっ・・・ぁふっ・・・っ」
恋い焦がれて望んだ、深いキス・・・
望んでいたくせに、こっちの余裕なんてあっという間に奪われる。
やっぱり
翔ちゃんのキスには カナワ ナ イ
息が苦しくて、息継ぎをしたいのに、後頭部と背中をしっかりホールドされて逃げられない。
「ンぅ・・・んっ、・・・っふ、」
翔ちゃんの舌と手の力が、『雅紀は俺のもの』って言ってくれてるみたいで嬉しい。
腰から這い上がる芯からの煩悩に煽られる・・・。
口を塞がれてて息が鼻腔を通るから、
「ぅん・・・、っあ、しょぉちゃ・・・っふ、・・・んんっ、」
僅かな隙に愛しいその名を呼ぼうとしても、唇も舌も追いかけられて、呼ばせてもらえない。
とろみのある柔らかさを深く絡ませながら、瞑っていた目をそっと開けてみると、切なく歪んだ眉と、色っぽく細められたキレイな二重が、視覚からカラダの中心に訴えかけた。
... to be continued