今日から、新しい土地での暮らしが始まる。
30歳を迎え、心機一転この地に移住してきた。
都内で仕事をしていた僕が、
移住を決めたのは、子供を伸び伸びとした
環境で育てたいというのがあったのだが、
自分自身も、都会での生活に嫌気がさしていたというのもある。
独身の頃は旅行が趣味で、いろいろなところに旅するうち、
自分は、自然に囲まれて生活する方が、
落ち着くという感覚はずっと持っていた。
ただ、その頃は仕事も充実していたので、
辞めて移住するなどとは考えていなかった。
やがて、結婚して子供ができて、
子育てにも関わりたいとは思ったが、
年齢的に重要な仕事を任せられ、残業も増え
部下や上司との関係でのストレスもあり、
逃げ出したいと思うようになった。
もちろん、理想と現実とのギャップに悩んだとしても、
我慢してそのまま頑張る人がほとんどだろう。
しかし、僕はある日いつものように
最寄りの駅まで行ったが、満員電車に乗ることができず、
会社に仮病を使って休んで、近くの河川敷のあたりを、
あてもなく歩いていた。
歩きながら1日考えているうち、
僕は移住を決めたのでした。