245 「血と砂」 鑑賞後に読むバージョン Ⅰ 『海ゆかば』では寂しすぎます | ササポンのブログ

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元々
貧乏時代からの友だちであった
喜八監督と三船敏郎。
この「血と砂」や前作の「侍」などは
三船プロ製作である。

その「侍」の次の三船の作品が
「赤ひげ」

つまり
この「血と砂」を撮った年以降
三船敏郎は
二度と、黒澤明と組むことはなかった。

つまり
三船プロ製作の仕事はしなかった。

しかし
喜八監督とは
冗談のような、恐らく誰も引き受けなかったであろう
「座頭市と用心棒」まで
組み続けている。

三船敏郎と名コンビと言えば
黒澤明・・というのが常識だが
「赤ひげ」の後の黒澤作品を観ると
三船のある程度の我を使いこなして
「赤毛」や「座頭市と用心棒」などの
傑作、快作を送り出した
喜八監督と
黒澤明
どちらが素敵か・・。

はっきりいってしまうと
岡本喜八に「七人の侍」が撮れる可能性はあるが
黒澤明に「ダイナマイトどんどん」は死んでも撮れない。

だからなんだ・・と言われると
なんでもねえや・・と答える。

ここからは
ネタバレ、バカスカします。
見ていないひとは
ストップであります。

ペタしてね


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冒頭
砂漠を歩く軍楽隊

「聖者が街にやってくる」を
高らかと奏でる。

軍楽隊の彼らは
銃の扱いも知らない。
当然だ、
軍楽隊だから。

しかし
彼らも楽器を銃に持ち替えて
戦場を走らなくてはならない。

なぜなんだ・・と。

それだけでも十二分に
くだらない矛盾である・・と

北支戦線に送り込まれた
慰問の軍楽隊たちが
そこで
自分と同世代の少年兵が銃殺されたと知る。

悲しみと追悼を込めて
彼らは「聖者が街にやってくる」を
演奏し始める。

仲代演じる隊長が
三船に聞く。
「あれはなんだ?」
「銃殺された少年兵に対する追悼の曲であります」
「兵への追悼は「海ゆかば」ではないのか」

「「海ゆかば」では寂しすぎます」

僕は、このセリフが映画史に残る名ゼリフだと思う。

あとのシーンで、
死んだ仲間に対して
派手に葬送の曲を演奏と言う。

「死んだふたりは、たかが20年も生きられなかった。
なにも知らずに死んでしまった。
せめて派手に送ってやれ」


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隊長をぶん殴って
牢に入れられる三船
そこには
喜八映画では
おなじみのふたりがいる。

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佐藤充と
天本英世。

そして
悪党から馬ヅラ大名まで
このひともやっぱり常連

伊藤雄之助
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つまり
文字通り、役者が揃った。

そして
ここから展開されるストーリーは
「特攻大作戦」パターン。

できそこないや、はみ出し者を集めて
群歴は優れているが
問題のある男に率いさせて
難しい任務に就かせる。

成功すれば儲けもの。
失敗しても
どうせ屑ばかり。

こちらの損はない。

要するに
どうころんでも
おもしろくなるストーリー。

さらに
彼らが攻略する
敵の陣地が
ここ。


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ネーミングといい
造形と言い
もう
ため息が出る・・・。

でしょ?


つづく