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京都滞在中は、ゆっくりと時間が過ぎ、平和なひとときが流れていました。練習が終わると、気の向くままに自転車をこぎ、街をうろついたり、何も予定がなければ山に登ったりして過ごしました。


特に京都は銭湯文化が豊かで、町のいたるところに銭湯があり、それを巡ることも楽しみの一つでした。


そこでは、皆が心と体を癒し、たわいもない話に花を咲かせ、優しい時間が流れているように感じました。





そんな京都滞在が何日か経ったある日、佳吾さんが一言。


佳吾さん:


「宮崎(ギャザリング)行かへんの?」


私:   


「わかりません」


佳吾さん:


「行ったらええやん」


話はいつもシンプルで軽快でした。こんな私でも、あんなすごい人たちの集まりに参加してよいのかと迷いつつも、怖いという気持ちと同時に行ってみたいという思いが押し寄せてきました。何より、誘ってもらえたことが嬉しかった。佳吾さんがどういう気持ちで声をかけてくれたのかはわかりません。ただ、その気さくさと気負わずに声をかけてくれる感じに応えたいと思ったのです。


まるで夏休みに友達の兄ちゃんに遊びに誘われる感じでした。わくわくしながら、何が起こるかただただ楽しみにして外に繰り出す。行き先が海だろうが山だろうが関係なく、もちろん気温や天気も関係ない。シンプルに楽しもうと自然に思えました。


あの時から、佳吾さんのことを心の師匠だと思うようになりました。自分が目指したい姿に近いと感じたのです。この感覚を言葉に表すなら、シンプルに「かっこいい」。それだけで十分でした。本当の「かっこいい」大人を見つけたようで、それがまた嬉しかったのです。


その後、すぐさま更科裕也さんに連絡し、宿も確保していただきました。予想外の展開でしたが、まるでインドまでのレールが敷かれていくような、オートマチックな旅が始まっていたことに、その時は気づいていませんでした。


つづく