お世話になってます！読んだ本の感想です！
臨床の砦
著者：夏川草介
あらすじは……
小さな病院は命懸けでコロナに立ち向かった。
感染症指定医療機関でコロナ禍の最前線に立ち続ける医師の記録小説。
という、とにかく読んでほしい。
私は泣きました。
あくまでも医療従事者視点の小説なので、役所とか政治とかの立場でコロナに立ち向かっていた人たちにとってはまた思うところが違うかもです。
まだまだ記憶に新しい未曾有のパンデミック。
全く『未知』の病に対応する医療従事者はまさに命懸けでしょう。
そのヒリつき、恐怖、現場の疲弊、周囲の無理解、孤独感、そんな負の感情が胸に迫ります。
病院はあるのに、熱があると診察もしてもらえない。
どこに相談すればいいのかわからない。
そんな恐怖を感じた人も多いのでは。
この小説では感染指定医療機関が舞台なので、通常の病院でコロナを理由に断られた人たちが続々と、病院のキャパを超えて運び込まれてきます。
とっくにキャパは超えている。それでもここは砦だから、無理をしてでも苦しむ人を受け入れたい。
そんな使命感でギリギリ踏ん張る医療従事者の人たちの心を、周囲の人たちの心ない誹謗中傷と孤独感が削っていきます。
情報が無い中での陽性者への過度な差別など、コロナは社会や身体だけでなく人の心も壊してしまった。
それでも、絶望だけではない、登場人物の強さと光に救われるので読後感はいい！
今もまだコロナという病気がなくなったわけではないし、今後新たな感染症が発生しないとも限らない。
世の中が大きく混乱した時、自分はどうあるべきなのか。
読み終わって考えさせられるる作品でした。
コロナ関係なく、自分を振り返りたい時にもおすすめ。
