そういえば、な話

これの続きのようなもの

子供の時の父親の記憶って

石鹸で洗った手の匂いだった
モジャモジャな野生動物みたいに毛が生えて、骨がゴツゴツした手

会社から帰って来たら必ず手を洗う父

そして、私に頭を触れる時は

香る、石鹸の香りと
一日中働いた臭いがした

それが、私が認識する父だった

その父の象徴である「手」で叩かれる、殴られる

あれは、私の美しい日常が、壊された瞬間だったんじゃないかなぁ


20代の時に好きになった人


その人は手が大きい人だった

「巨人の手、みたいでしょ」

そう言って掌を合わせたら
私の2倍近くあって、すごく驚いた

ある時、好きな人が怒って

頭をはたかれた

簡単に、吹っ飛ぶ私


頭を叩かれた痛みよりも
暴力をされた痛み、の方が痛かった

あの時の痛みって

お父さんに暴力を振るわれた時の
子供の優子の痛み、だったんだね。

。。。

20代の終わりに出会った大騎


彼の手は、小さかった

私の手より少し大きいほぼ変わらない掌

うすーく長めの毛が生えていて


それが、たまらなく愛おしかった

手の大きさが同じって

なんだか運命みたいな気持ちになった



優しい手だった


いつだって大事に触れてくれる優しい手

そんな彼と4年前の今日

私も好きって言えた日