「人間」の話 | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

 

 

 

8月13日。
生憎の雨模様。
とある場所での音楽祭へ参加する当日の朝、
するするするっと降りてきたのは絶望の歌。
何故今なのか。
今だからなのか。
頭の中は新しいメロディと、言葉でいっぱいになった。
いっぱいのまま出掛けた。
払拭するために。
今は絶望している時間じゃないのだからと。




会場の前で振り向いた女性の顔。
初めてお会いするはずなのに、懐かしい顔だった。
主催のその方だけではなく、次から次へと
お会いする方が懐かしい。
不思議な感覚だった。
顔が見えるという安心感もあったかもしれない。
ああ、生きてゆくために
日々、無理をしている。
異常な事を異常だと言う方が異常だと
言われないために、我慢している。
そんなストレスをほんの少し忘れそうになった。
ほんの少し憶えているままステージに上った。
10分間の咆哮。
ただ全力で。




何人かの方に声を掛けて頂いて
みんなの演奏を聴いて
会場の雰囲気を堪能して
夢のようだなあ、と思いながら帰った。
夢はあっという間だった。
そうして振り出しへ戻る。




この素晴らしい時間は決して忘れない。
今度は私が作るんだ。
今しかできないイベントを。
今だから出来た歌と、出会った命と。
今が絶望的でも、このままじゃ終われない。
絶望の歌、それは「人間」。
諦めたくないから、この歌をうたう。




と、
そんな感じで企画した、先日10月1日の「人間のまま生きて死ぬ」。
私の力では大盛況!とは行かなかったけれど
今しかできないイベントにはなったと思う。
あらためてみんなに、ありがとうと言おう。
出会ってくれてありがとう。
生まれて来てくれて、




ありがとう。