カナリア | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言


捨てようとして何度も
ためらって
握りしめた掌を
後ろ手に



光のもとに
翳して
晒す日が来るまで



鏡の中 こちらを
見つめてる
「その道でいいのかい?」
問いかける



一人分の
心が
偽りのない空へ



向かって飛ぶ日まで



音の出ないピアノでも
歌わない鳥のまま
止まった電車に乗り込んで



守ろうとして何度も
間違って
踏み潰した足元は
見ないふり



ためらわず
この手で
閉ざされたカーテンを



開け放つ日まで



弦の切れたギターでも
笑わない鳥のまま
乗り込んだ電車で
明日へ



偽りのない空へ
向かって飛ぶ日まで



音の出ないピアノでも
歌わない鳥のまま
乗り込んだ電車で
明日へ



『カナリア』 作詞作曲 笹田美紀