『希望の轍』 サザンオールスターズ~活動休止の夕べに思うこと
アルバムに収録されていて、シングルカットされていない名曲は数あれど、これほどまでに多用されていて、有名なのに、シングルカットされていない曲も珍しい。
イントロを聴いただけで、切なさが胸を貫き、想い出の中に深く沈みながらも、そこから立ち向かって明日へと向かおうとする決意を感じさせる。いや、こんな面倒くさいセリフはいらないかもしれない。
単純に、「きゅん」とするのだ。
中学生の頃、なぜだかエレクトーンを習い始めた。
小学生の時にやっていて、家に放置してあったエレクトーンがもったいなかったっていうのもあるかもしれないが、とにかく、習い始めた。1年が経って、どうにかこうにか、マトモに弾けるようになってから、演奏会に出る時に、散々悩んで決めた曲が、この曲だった。
『希望の轍』とは、もしかしたら、結構、絶望的なタイトルなのかもしれない。
それは、在りし日の、夢に満ちて、なにもわからずに進んで来た足跡なわけだ。
“現在”が、決して望んだものではないかもしれない。
でも、そんなこと、おかまいなしに、この曲に、勇気付けられてきた人は、星の数ほどいるだろうし、自分だって御多分に漏れず、その一人なわけだ。
歌詞の内容も相まってか、自分の中では、この曲は「旅立ち」の歌なんですよ。
一番の想い出は、大学の卒業旅行に一人でヨーロッパにバックパッカーの旅に行って、鉄道に乗り込んで発車する時に、必ずといって良いほど聴いていた。
なんだか、ありきたりだったけれど、それはそれは凄く、感慨深いものになった。
サザンオールスターズが稀有なバンドなのは、歌という過去の産物に頼って、キャッシュを少しずつ使っていくわけでなく、常に、全部をくれる、ということ。彼らがその時々に持っている、全てをくれる。
だから、そんな力もない(と自覚してしまっている)のに、冷蔵庫の奥から引っ張り出してきた、もう古びた曲を在り合わせの食材で調理して、想い出を汚されるなら、休止してくれたって構わない。きっと、出来なくなってしまったことがあって、無理に出来ないことを惨めに続けるよりも、やりたいこと、高められるものを追求していった方が良いと思う。決して、これまでが、無理をしていたってことではなく、ね。
ファンは許してくれるかもしれないし、自分も許せてしまう。ただ、桑田自身が許せなかった、ただ、それだけ。
この曲は、不朽の名作だし、何時になっても古びない。想い出というのが、人間の心に残る限り、誰かを感動させてくれると思う。
だからこそ、無理をせず、音楽が好きなバンドでいて欲しいから、良い曲を届け続けてくれるバンドであって欲しいから、少し休んで欲しい。
『LA・LA・LA・LOVE SONG』
この曲は、もはや、曲だけで語るのが難しいほどに、ドラマのイメージと強く結びついた稀有な曲の一つだと、勝手に思っている。
毎週毎週、『ロングバケーション』が楽しみで仕方が無かったのは、もう12年も前のことだったのか、と思うと若干、頭がクラクラしてくるから不思議だw
イントロからサビが始まって、ナオミ・キャンベルの声が響いてくる。
もう、想像するだけで、始まる夏と恋の予感が込み上げてくる。
ドラマは物凄い視聴率をたたき出し、“キムタク”を不動のものにした。
けれど、この久保田利伸の曲がなければ、ここまでヒットしなかったと思う。
確か、中学生ぐらいだったと思うんだけど、後にも先にもこの「月曜日が待ち遠しい」と思っていたのはこの3ヶ月ぐらいなものじゃないんだろうか?
いつのまにか、テレビとポップスって不可分なものになってしまって、それは惰性にも繋がっていったと思うし、何よりも歌とテレビがお互いに利用される間柄になってしまっていて、それは見ている方としても、なんだか「つまらないあなぁ」という気分しか感じ得なかった。
でも、表現のフィールドとして、こういう融合というか、奇跡めいた名曲と名作が生まれることってあるんだろうね。
もちろん、アーティストがタイアップするモノにたいして、常に100%のシンクロニシティを持って挑めるわけではないから、仕方のないこともあるんだろうけど。
ドラマのイメージ力って面白いな、と思うのは、この曲がかかるオープニングってのは、「昼間」なんだけれど、聴いていく内に思い出されていくのはドラマの名シーンで、次第にドラマを見ていた時の思い出や、曲を聴いていた時に感じていた気持ちなんかが自然と思い出される。
その時は、すでに「夜」だし、ちょっと蒸し暑い「夜中」に「墨田川」かなんかで途方に暮れているというか、そんな感じであって。
ま、途方に暮れているってのは、個人的な思い出に過ぎないかもしれないけどね・・・
『Body&Soul』 SPEED
通ってた学校は中高一貫で、現在でも付き合いのある奴らとその時から仲良かった筈なんだけど、新しい生活にスッと入って行けないまま引きずっていたからかもしれない。
スポーツをやっているわけでもなく、入ってたマイナーな部活も週に1回。
思い出してみれば何をやっていたんだ?ってぐらい時間はあった。
そんな、ちょっと陰鬱な時期の登下校時に使っていたのがカセットウォークマンだった。
世代的にカセットウォークマンの最期だったと思う。そこから聞こえていた歌が、小さい世界の全てだった。
当時、流行っていたのがSPEEDだった。
多感な時期に聴いていたからか、パッとしない自分に対するコンプレックスからか、華やかな世界に憧れていた。
確か、何で見たんだか忘れたけど、SPEEDがライブをやっていて、どーしても行きたかった。でも、無駄に厳しかったし、チケットを買う金があるわけでもなく、泣く泣く諦めた。
定番だけどSPEEDがラジオをやっていて、一時期、それも気になってチェックしてたんだけど、次の日がライブだって日に
「明日の1曲目なんだと思う?」
ってメンバーで話しをしていて「嗚呼、行きてぇなぁ」なんて思ってて。
それからしばらくして、深夜、SPEEDのドキュメンタリーみたいなのをやっていて、ライブまでを追っ掛けていた。
たまたま見たんだか、なんだか忘れたけど、食い入る様に見てた気がする。
1曲目にやったのは『Body&Soul』だった。
俺の1番好きな曲だった。
SPEEDの曲はいつ聴いても、何だか変な切なさがあるんだよね。
自分を表現出来なかったし、好きなことも余りなくて、何も出来なかった時にずっと聴いていたからかもしれない。
胸が締め付けられる、そんな気がする。
マイナーで良い曲はSPEEDにもあるけど、特にこの曲が好きな理由は、そんなところにあるのかもしれない。
