震災後、避難所を経て、私達家族は親戚の家にお世話になっていました。
浸水と、ライフラインが復旧せず、家に戻れない日々が続いていたからです。
居候先の家では、やはり被災して避難して身を寄せてるおばあちゃんがいました。
お世話になってる居候先の家では、毎日NHKで震災のニュースを見る日々でした。
民放は割と普通の番組に戻ってる様子でしたが、全然見る気がおきません。
そのへん、振り返るとやはり震災の影響が自分の気持ちに大なり小なり影響を及ぼしてたのかもしれません。
4/2、その日の夕方は珍しくBSのNHKにチャンネルが回されていました。
おばあちゃんが夕方から放送される演歌の番組を見たかったようなのです。
おばあちゃんは、民謡と演歌を聴くのが好き、と言っていたので、ああそうかと思い一緒に見ていました。
番組が終わり、おばあちゃんは風呂に入るため、部屋を出て行きました。
残された私は、そのままのチャンネルでテレビを見ていました。
すると、NHK-BSプレミアムスペシャル番組「デジタルプレミアムライブ~J-POPプレミアム~」
という番組が始まりました。
音楽かあ・・・。
震災以降、音楽を聴きたい、聴く気が全くおきていない自分がいました。
車の中でも自然とNHKのラジオのニュースを聴いてしまいます。
以前の自分では考えられない、でも実際にニュースしか聞きたいと思わない自分がいます。
私は、そのBSの音楽番組をボーっと見ていました。
J-POPのヒット曲をアーティストが次々歌っていきます。
でも、耳には聞こえてもそのまま素通りしていく感覚でした。
勿論、事前にチェックしてみてるわけではないので、誰が出てくるか知りません。
ボーっと見てると、
「続いては、真心ブラザーズと奥田民生さんです」
司会のぐっさんが言います。
!!!!!!?
ビックリした!
まさかまさか!
お世話になっている家の、しかもたまたま見てたBSの番組で民生が見れるなんて!
思ってもみなかった・・・。
ぐっさんから、今回の(震災)ことについて的な質問に対し
「働くしかないです、(働ける人は)ガッツリそれをやるしかないです」と、民生。
シンプルだけど、相変わらず物事の本質、現実を的確に言い表す言葉。
要するに、一人ひとり各々が、今出来る事を目一杯やっていくしかないし、そこからしか物事は進まない。
私は民生の言葉を、そう受け取りました。
そうだよな、出来る事を一歩一歩。
真心ブラザーズと奥田民生が歌った曲は「My Back Pages」
震災後、初めて民生の歌う姿を見て、自分の中でじわりと気持ちが変化するのが分かりました。
そうなんだよな。
自分はこうして、民生がバリバリ活動しているのと同じ時代を生きてるわけで、
それって実は凄い幸せな事なんだよな、ということに数年前気付いた事。
そんなことを、この日、民生が歌ってる姿を見て改めて思い返しました。
震災後、音楽から遠ざかっていた自分にちょっとだけ、でも、とても大きな気持ちの変化を与えてくれたのは、
やはり民生だった。
たまたま見てた番組という偶然性が、余計に強く、そのことを意識させたのかもしれない。
一つ一つ・・・。
この日の真心ブラザーズ+奥田民生に勇気をもらいました。
(アタマッチ)