パプアニューギニアには1回しか行ったことないけど、
すごく楽しかったので、いつかもう一度行ってみたいとずっと思っている。
昔、水木しげるの自伝を読んで、パプアニューギニアのラバウルのことは知っていたけど、
日本から遙か遠く離れた南国ジャングルのその土地に、
私には一生縁もゆかりもないであろうと思ってた。
それが、その当時の私がいちばん見たかった魚、ボロカサゴを見れる国として
ダイビング雑誌に紹介されてたのがパプアニューギニアだった。
ようよう調べてみると、時期的にボロカサゴのシーズンじゃなかってんけど、
極楽鳥も棲んでいるパプアニューギニアがすごく楽しげやったので、
ボロカサゴ見れなくても行きたくなってしまった。
島国やし、ダイビングスポットもたくさんあって、どこで潜ろうか悩んでいたら、
いつも海外ダイビング旅行を手配してもらっていた旅行会社の人のおすすめで、
ニューブリテン島のキンベで潜った。
今でこそスマホひとつで海外旅行も簡単に手配できたりするけど、
ネットがまだ普及していなかったあの当時、
店舗に足を運ばなくても、電話だけで旅行の手配をしてくれることは画期的なことやった。
私はいつもその会社を使っていたから、そのうちその会社の人は私の好みを熟知してくれて、
実際には一度も会ったこともないのに、「ここは絶対サルコさんが好きやと思う。」と、
いつもええ海とええリゾートを手配してくれた。
宿泊するホテルも今ならネットでなんぼでも調べれるけど、
あの頃は「地球の歩き方」とか、その他ダイビング雑誌に載ってるちっさな写真と、
数行の説明文だけで決めなあかんかったから、博打みたいなもんやったけど、
あの旅行会社の人が勧めてくれるなら大丈夫。と、安心して任せていた。
そのうち、私は見たい生物と、行く時期を伝えるだけで、
じゃぁここの海はどう?みたいな感じで、目的地さえ選んでくれるほど
その会社にはお世話になった。
それなのに、いつしかネットでなんでも調べたり、手配もできるようになり、
その会社を使うことはなくなっていってしまった。
あんなにいっぱい手配してもらったし、自分の趣味もわかってもらってお世話になったのに、
会社の名前も、いつも電話でお話した人の名前もまったく覚えてない・・・
その節は大変お世話になりました。感謝してます。
前置きが長くなったけど、
ニューブリテン島のキンベの海の中は綺麗な魚がいっぱいやったし、
見たことない鳥も飛んでたし、
温泉が流れてくる川に浸かりに行ったり、
クリスマスツリーみたいに点滅する蛍を見に行ったり、
宿泊したリゾート も、すごく素敵で、いまだによく覚えている。
ダイビングを満喫した後、日本に帰るため、
ニューブリテン島からニューギニア島のポートモレスビーに飛行機で移動して、
そこで1泊した。
ポートモレスビーはなんか治安悪そうやったし、個人ではホテルの中にずっといて、
ホテル内のレストランで食事して、ホテル内のお店で買物したりしてた。
日本に帰るまでの最後のお楽しみに、バードウォッチングツアーに参加した。
はっきり言ってこれがダイビングよりも楽しみやったかもしれんくらい楽しみやった。
だって野生の極楽鳥(アカカザリフウチョウ)が見れるかもしれんツアーやったから。
早朝、外はまだ真っ暗なうちに、ふたりの現地人(運転手とガイド)が迎えに来てくれて、
車で移動した。
途中、木登りカンガルーがおったりしたけど、まだ外は真っ暗であんまりよくわからんかった。
ニューブリテン島のことはいまだに宿泊したホテル名も覚えてるけど、
ポートモレスビー滞在時の宿泊ホテルの名前とか、バードウォッチングに行った山?ジャングル?たぶん国立公園みたいなとこやと思うねんけど、名前をまったく覚えてない。
結論から言えば、名前も場所もまったく覚えていないポートモレスビーの郊外で
私は運よく野生の極楽鳥を見ることができた。
しかも自分が立ってる目の前の木のてっぺんで、
♂の極楽鳥が求愛のダンスを踊ってる姿も見れた。感動でした。
このとき望遠レンズ付きのカメラとか持ってなかったし、写真撮れなくてめっちゃ残念やった。
私は英語もしゃべれんし、現地のガイドとは片言の英語と身振り手振りでやりとりして、
何言うてるかはほとんどわからんかったけど、極楽鳥を見つけて安心したのか、
ここで極楽鳥見といて。僕は奥さんのために薪を拾いに行ってくるから。って
私らをその場に置いたまま、ガイドと運転手は2人揃ってどっかに行ってしまった。
なんのサバイバル技術もない、文明国の都会育ちの私が、
他に誰もおらんこんなジャングルにこのまま置き去りにされたらもう死ぬしかない。
しかも今自分がどこにおるのか名前さえわからん場所で。
今みたいにスマホなんて持ってへんし、
仮にあったとしてもあそこで電波が通じたとは思えん。
仮のまたさら仮に電波通じても、どこの誰になんて言うて連絡すればいいかさえわからん。
ワタシ、イマドコニオルカワカランケドタスケテ・・・って言うしかない。そんな状況でした。
極楽鳥見ながら死んだら極楽には行けるかな。。。
一瞬、不安になっていろんな不吉な想像したけど、
目の前に極楽鳥がいるから、不安よりも喜びとうれしさと興奮が勝った。
それにガイドと運転手2人の姿は見えなくても、
ずっと薪にする拾った枝をバキバキ折る音が聞こえてきてたから、
この音が聞こえてるうちは大丈夫と信じて、極楽鳥を思う存分眺めてた。
私の心配をよそに、しばらくすると、
ガイドと運転手はたくさん枝を拾えたせいかご陽気な様子で戻ってきた。
極楽鳥を満喫したあと、移動しながらめっちゃ綺麗なカワセミとかも見れた。
ひととおり鳥を見たあと、見晴らしのいい場所に出た。
めちゃくちゃ絶景やけど、
こんなところに置き去りにされずにすんでよかった。もう二度と帰れん自信ある。
いったいなんていう場所なんか全然覚えてないけど、
この場所にいても、極楽鳥の鳴き声が聞こえてきてたことだけは覚えてる。
極楽鳥に会えてよかった。
いつかまた、今度は望遠レンズついたカメラ持って行きたい。
パプアニューギニアから連れて帰ってきた精霊。お気に入り。