デザインの旅路

デザインの旅路

グラフィックデザイナーの独り言です。
fc2から引っ越しました。

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オリンピックのエンブレム

今話題のパクリについて、個人的に思うことを書き留めておきます。


オリンピックのエンブレムに端を発して、次から次に疑惑が出ています。
このデザイナーは以前から有名な方で、
デザイン雑誌によく登場したり、著作も出したり、現にぼくも1冊持ってます。
デザインに携わるものとしてあくまで感覚ですが、
あのエンブレムのデザインはパクリではないと思います。



理由としては、パラリンピックのエンブレムとあわせて
ひとつのデザインになっていること。
パラリンピックの方は、オリンピックのエンブレムの白黒を反転させて
「=」を表しているというコンセプトです。
ぼくはこのコンセプトは凄いなと感じました。
2つあわせてひとつのセットにするというのは、
今までなかったんじゃないでしょうか。
調べてないですけど。

シンボルマークというのは、シンプルなほど良しとされ、
シンプルになればなるほど、似ているデザインの可能性があります。
ですので、あくまで個人的にですが、これはパクリではないと思います。

この件は、エンブレムのデザインが不評だったので
それに乗じて叩いてる感じがします。
こういう公共性の高いマークは、いろいろな使い方をされることを考慮して、
小さくしても紙に印刷してもテレビで見るにしても、
同じ見え方をしないといけないとかいろいろ決まりがあって、
どうしてもシンプルで奇抜性のないものになります。
このデザインがいいのか悪いのかは、
実際オリンピックが終わるまでわからないですね。


今は誰でも簡単にデザインできる

トートバッグの方は、完全にアウトです。
まあパクリというか、素材を無断で使用したという感じでしょうか。
このレベルのお仕事なら、著作権のことは普通作る時に当たり前に気にします。
友達に配るチラシじゃないんだから、管理があまりにずさんと思います。
いや、友達に配るチラシだったらええんか!というわけではないですが。

で、そのあとも続々と疑惑が出てくるわけですが、
このデザイナーの方に限らず、
調べていくとどんな人でも似たデザインは出てくると思います。
過去のすべてのマークを調べきるのは不可能でしょう。
おもしろがってネタにしてる感じがなんかイヤですね。

ぼくが今まで作った色々なものも、探せば似たのはあると思うし、
実際過去のサンプルを参考にして作ったりすることはよくあります。

インターネットのおかげで参考になるものも探しやすくなりましたが、
似たものを探すのも簡単になりました。
素人でも簡単にロゴやマークが作れる時代、
本物でないと生き残っていけないですね。
いろいろなデザイン関連書を読んできましたが、
たまに衝撃を受けるようなことがあります。
浜省風に言えば、稲妻がおれの体駆け抜け~って感じです。
この本はそんな一冊です。


デザインとは問題解決の「新しい道」を見つける作業

佐藤オオキさんの本ですが、まえがきからいきなり心をつかまれました。

 「コップの中の水を捨ててほしい」と言われた時に、
 コップを傾けることは誰でも思いつくが、
 例えば、温めて蒸発させてもいい、
 コップの中にひもを垂らして毛細管現象で吸い出してもいい、
 無重力にして水を浮遊させてもいい、
 水を張った水槽に入れたらコップの中の水の存在を感じなくなるかも。

 こういった「新しい道」を見つけるのがデザイナーの役割だと、
 ただし。「コップを空にする」という目的は必ず達成しなくてはならない。

 デザインとは、奇抜な形を作ったり、カッコ良く見せたりすることではないのです。


…ここだけ読んでも稲妻ビリビリです。
「問題解決の新たな道」これにつきます。



ジレンマとの戦い

ぼくもついつい見た目よく装飾したり、
いわゆるごまかしをやってしまいがちで、
まあそれなりに収まってしまうので、クライアントも満足してくれたりします。
それはそれでいいのかもしれないですが、
心の中では「うわべだけですんまへん」と思っています。

予算もあるので細かい一つ一つにこだわっていたら
時間もコストもオーバーして仕事にならないんですが、
そんなことは言い訳で、こなしていくだけではダメだと自戒しています。

「自分がいいと思わないものは、他人が見てもいいと思わない」

がんばらなあきまへん。
気がつくと、本棚に収まりきらないくらいのデザイン関連書を購入しています。
忘れないように、感想を書いておきたいと思います。

「本を読みました」シリーズ、第1回です。


考え方がデザインだ


この間読み終えたばかりの本です。
NHKの「プロフェッショナル」に出演されていた、梅原 真さんの本です。
この方は高知に住んでいて、農業や漁業など、
第一次産業に関わる仕事しかしないという、なかなか変わった人です。
それでやっていけるというのがすごいです。

ありえないデザイン


失礼ながら、「プロフェッショナル」を見るまでこの方を知りませんでしたが、
番組を見て、面白いなあと思い、たまたま書店で見かけたので購入しました。

内容は、プロデュースした仕事などを書き綴っていて、
そのプロセス等をエッセイ的に読めるのですが、
デザインの作品紹介という感じではなく、その辺は少し残念でした。
今までのいろんな商品を見たかったです。

ただ、参考になった所は、
「パッケージデザインは金を払ってもらうもの、
 グラフィックデザインは告知をするもの。」という言葉。

パッケージは手に取って、カゴに入れて、
レジまで持っていく想定をしないといけない。
かっこいいデザインを作りたいと思うあまり、
自分の内側だけでデザインしてはダメだということです。

あと、梅原さんはネーミングがうまいです。
おもわず「ん?」とひっかかるようなネーミングをします。
現にこの本も、「ありえないデザイン」という名前で、
それが気になって手に取ってしまった部分もあります。
ん~思惑通りですね!

デザイナーというと、パパっと絵を描いたり、形を考えたりして、
芸術の力やひらめきで物を作っているというイメージがあるかもしれません。



デザイナーはアーティストではない


実際は全く逆で、与えられた情報を整理して、
例えばチラシだったら、どうすれば見る人の目にとまり、
実際にお店まで足を運んでくれるだろうか、とか
見る人は男性か女性か、何歳くらいの人か、などなど
色々考えてデザインしていきます。

個人的には、いかにもデザインしましたよ!
って感じの物はあまり好きではなく、
整理整頓した、けど引っかかりがあって目にとまる、みたいな物が好きです。
個性をできるだけ消したいと思ってました。

で、前回のブログを見ていて、
田中一光さんも、福田繁雄さんも、すごい個性があるな、とふと思いました。
田中さんは、仕事ではなくプライベートで書いていた絵などを
ポスターに流用したりしています。

今そんなデザイナーは少ないと思います。
逆にそんなやり方もアリかなあと思いました。
「このポスターは○○さんが作ったんだ」とわかるような、
スタイルを作るというか、そんなやり方も
今なら逆に新しいんじゃないかと思ったりしました。

ぼくができるかは、また別の話ですが。



今回は、今まで、ぼくが影響を受けたデザイナーの一部を紹介します。


シンプル イズ ベスト!



田中一光さん。

Scan0011.jpg

色がすごくきれいで、造形に力があるように感じます。
このポスターは、ほとんど丸と直線のみで女性の顔を表しており、
インパクトが強烈です。
これだけでわからせるなんて、ほんとにびっくりします。


福田繁雄さん

Fukuda_poster.jpg

だまし絵、トリックアートが作風です。
このポスターは、戦争反対のポスターで、
打った大砲のが玉がこっちを向いているという皮肉をこめたデザインです。



松永真さん

b0211582_1220568.jpg

先のお2人程個性は強くないのですが、
皆さん知っているデザインをいっぱい手がけています。
ほかにも、ブレンディやUNOのパッケージ、
バンダイや西友のロゴなど、生活に密着したデザインが多くあります。


どれにも言えることは、シンプルで、ごちゃごちゃしていないですね。
ぼくもそうありたいのですが、シンプルだとごまかしがきかないので、
何もデザインしていないように見えてしまうんです。

「考えた末にこのデザインになりました」
と言ってみても、相手には物足りなく感じるようで、
「もっとこうして」等と言われてしまいます。
ほんとに力不足だと痛感します。

まだまだ好きなデザイナーはいますので、
また紹介します!

デザインの専門学校に通ってたのですが、
絵がものすごくうまい人がいて、
それだけでその作品がいい作品だと思うことがありました。


デザインを考えることと、作る技術は別物


いいアイデアが浮かんだとしても、
それを現物の形に出来ないと意味がありません。

風景と人物を合成する案を思いついたとして、
まずイメージにあった風景や人物を撮影するのか、
ダウンロードサービスで入手するのか、
人物はどんな人物で、服装はこれで・・等とアイデアは出たとしても、
その素材を入手して、なおかつ合成する技術が必要です。
不自然な写真はすぐにばれてしまいます。

さらに、その写真を使ってどんなレイアウトで、
書体はどれで、大きさは何ポイントで、位置はどこで・・とキリがありません。
レイアウトがダメだと、せっかくのいい写真も死んでしまいます。

絵がすごくうまくて、言われたら何でも描けるけど、自分から提案が出来ないと、
イラストレーターとしてはいいかもしれませんが、デザイナーとしてはしんどいです。

ただまあ、はじめに書いた通り、
アイデアは平凡でも、クオリティが高いと、喜ばれることも確かにあります。

アイデアと出来栄え、両方兼ね備えたいです。


年賀状ラッシュが一段落しました。

うちの会社は、デザインサンプルを作って、
お客さんに選んでもらい、レイアウトして、オッケーをもらい、
さらに印刷までぼくひとりでしないといけないので、
ただでさえ忙しいこの時期に、大変な作業となります。


たかが年賀状、されど年賀状


今年はたまたま喪中の会社が多かったので、
いつもよりは少なかったのですが、それでも大変でした。

業務用のレーザープリンタで印刷するんですが、
印刷時にトナーを定着させるのに高熱をかけるので、
年賀状が反ってしまうんです。

これを3日ほど重しを乗せて反りを解消するという、アナログな作業をやってます。
しかもひとりで。なかなか大変です。

サンプルの中から選んでくれるお客さんはまだいいのですが、
オリジナルのデザインを求められる場合もあり、これは相当苦労します。

その会社の理念やオリジナリティを、ハガキのスペースで表現し、
年賀らしく、めでたい感じも出さないといけません。

そうなるとその会社のことを調べないといけないし、
3案ほど作らないといけないし、難しいです。
それが毎年なので、もうネタ切れと言っても過言ではありません。

しかも印刷の都合上、周囲に余白が6ミリほど必要で、
ハガキの端まで色をつけられないという制約があり、
これもデザインに苦労する一因になります。

結局自分の年賀状が一番最後、ギリギリになってしまうのでした。
今年もまだできていません。


最近ゆるキャラブームというわけで、
狙ったわけではないと思うんですが、
結果的に人気者になったといえばこのキャラを思い出します。


「気持ち悪い」から、人気者に


今や皆さんご存知だと思うんですが、
「せんとくん」が登場したときの評判は、良いものではありませんでした。



せんとくん


「気持ち悪い」とか「鹿の角がどーのこーの」とか、
とにかく文句ばかり言われていたと記憶しています。

ネット上でもかなり叩かれていたんですが、
ぼくは「これでせんとくんは有名になり、認知度が上がって大成功間違いなし」
と思っていました。

当たり障りのないキャラを作って、文句も言われないが、人気もでない。
これが一番最悪のパターンです。
人気も何も、知ってもらわないことには話題にも上がらない。

もちろんキャラの完成度が高いことが前提ですが、
こういう戦略もあると思います。
ふなっしーもインパクトという意味ではよく似ているように思います。

くまモンは、ぼく的には計算が見えるような感じがします。
いろいろ計算して、人気が出るようにデザインされています。
例えば、ほっぺを赤い丸にすると子供に人気が出るとか聞いたことがあります。

キャラクターというのは、目の大きさがほんの少し変わったり、
角度が変わったりするだけで、全く違う物になってしまう
とても繊細さを要する難しいデザインだと思います。


今回で3回目になる「デザインの旅路」です。
えらそうなことを書いていますが、
ぼくが出来ていることを書いているわけじゃありません。
自分の心掛けとして書き留めているので、
自分が忘れないように戒めている意味が強いです。
そんな感じですので、ぼくがふだんやっていることはたいしたことではありません。


握りすぎたお寿司は、まずい


チラシやパンフレットを作りたいというお客さんは、
はじめから「見てもらえる、読んでもらえる」
ことを前提にしている依頼主がいます。

テレビコマーシャルだって、できれば見たくないし、
雑誌の広告も、ペラペラとめくっているんじゃないでしょうか。

ところがひとたび自分でチラシやパンフレットを作るとなると、
その感覚はどっかにいってしまって、
あれも入れたい、これも入れたいと、
誰も見たくないような印刷物を一生懸命考えてしまい、
満足しいているのは依頼主だけ、ということになってしまいます。

これは良くないことなんですが、
ぼくも依頼主が言っていることを聞かないと話が進まないので、
妥協して作ったり、どうしても納得がいかないときは、
営業さんと言い合いになったりします。

結果、サイトウマコトさんが言っていた
「きれいなゴミ」が出来てしまいます。
もちろん依頼主は喜んでくれているので嬉しくないことはないのですが、
その後、結果がでてるのかは気になるところです。

ひとつの広告で言えることは、ひとつです。
あれもこれもと詰め込んでも、まとまりのない物ができてしまいます。
主役と脇役をしっかり決めて、メリハリが大切です。




グラフィックデザイナーといいながら、
深澤直人さんが大好きです。
深澤さんはプロダクトデザイナーで、
auのINFOBARや、無印の壁掛CDプレーヤーなどをデザインした人です。
ぼくとやってる分野は違うんですが、
その考え方に深く感銘を受けました。


名言がいっぱい


アイデアが寿司で、デザインが醤油。
 寿司を食べるときに、醤油をつけて食べますが、
 「あの醤油おいしかったね」とは言わない。
 どれくらい醤油をつけるかが、デザイナーの仕事。

長い髪の彼女と一緒にいて、その髪をなでて幸せな気分。
 そのあと二人でパスタを食べていたらその髪の毛が入っていた。
 髪の毛は同じものなのに、状況が変わると気分が変わる。
 なのにパスタに混ざってもおいしい髪の毛をデザインしてと言われることもある。

自分で作ってよくないなと思ったら、
 人が見ても良くない。
 自分をごまかしてはいけない。

特に3つめの言葉は自分に当てはまることが多くて、
心にとどめています。
物作りをしている人ならドキッとする言葉かも知れません。

「まあ、こんなもんでいいか」との戦いです。