~~~長男は、さっそく服を脱いで、女将から渡された手ぬぐいを頭に乗せて、岩風呂に入ると、戻ってきた弟が
「湯加減は、どう?」
と言いながら、手ぬぐいを頭に乗せて、長男の隣に入り、長男の両肩にある。黒いアザを見て
「兄さん、この背中のアザは、荷物を背負っていた時に出来たの?」
と言いました。
すると
長男が
「お父さんのアザに比べたら、私のアザなんか、大したこと無いよ。でも、慣れるまでは、痛いよ。」
と言ったので
弟が、慌てて
「兄さん、ごめんなさい。僕は、何にも知らなかったよ。」
と言うと
長男が
「いいんだよ。でも、お父さんは、留守を守ってくれたお母さんの御蔭で、行商が出来たと言っていたし、お母さんも、お前が居たから淋しくなかったと思うよ。」
と言ったので
弟は
「兄さん。今は、痛くないの?」
と言うと
長男が
「もう慣れたから平気だよ。だから、これからは、店を潰さないように、力を合わせて、頑張っていけば、お父さんもお母さんも喜んでくれるよ。」
と言って、兄弟たちは後ろの岩に寄りかかって、気持ち良さそうな顔をして、岩風呂に入っていると、弓矢を持った猟師が
「あんたたち、頭に葉っぱなんか乗せちゃって、何してるんだい。」
と言ったので
長男が
「宿屋の手ぬぐいですよ。気持ちが良くてなかなか出られませんよ。」
と言うと
その猟師が、ゲラゲラ笑いながら
「その葉っぱは、カエルっ葉だろう。死んだカエルを包むと、生き返るんだろう。」
と言ったので
弟が
「模様ですよ。でも、この岩風呂は、最高ですよ。ねえ兄さん。」
と言いました。
そして
弟は、立ち上がった時に、大きく、グラッとよろけたので、長男が弟の腕を掴んで
「長湯しすぎたから、のぼせたんだよ。」
と言うと
その猟師が、ますます、ゲラゲラ大笑いしながら
「たいがい、グラッとしたら、後ろの絶壁から落ちて、大怪我をしてしまうんだよ。」
と言ったので
兄弟が、顔を見合わせて、キョットンとしていると、
その猟師が
「この穴は、大蛇が冬眠する穴なんだよ。だから、いくら、長く入っていても、のぼせることなんか、絶対に無いよ。」
と言うと
兄弟たちは、恐る恐る後ろを振り向いて、下を覗くと、身のすくむような絶壁だったので、慌てて服を着ると、その猟師が、お腹をかかえて、ますます大笑いしながら
「この間も、ここに、だいの大人が5人も入って、仲良く押しくらまんじゅうして遊んでいたよ。」
と言ったので
長男が
「あの、それで誰も怪我をしなかったんですか?」
と言うと
猟師が
「ああ 1人いたよ。女将が、タヌキの匂いがするから、一晩中起きていて、尻尾を見たら、今度こそ一発で命中させると言った男が、落ちて怪我をしたんだ。」
と言いました。
そこで
弟が、ブルブル震えながら
「まさか、」
と言ったので
その猟師が
「あんたたち、タヌキに意地悪をしたのかい?」
と言うと
弟が、正直に猟師に話したので、猟師は、弟を見ながら
「今、あんたは、兄さんの御蔭で助かったよ。」
と言ったので
弟は、すぐに長男に頭を下げて
「兄さん、本当に心から感謝するよ。」
と言うと
その猟師は、笑いながら
「タヌキだって、1つしか無い命で、一生懸命に生きているんだから、狙うなら、目を三角にして、私の子供たちを襲ってくる。大蛇を、1発で、見事に仕留めておくれよ。」
と言ったので、弟は、ますます体をブルブル震わせて
「いえ、もう、タヌキも大蛇も決して仕留めません。」
と言うと
猟師が、ますます笑いながら
「そういえば、妻も、葬式まんじゅうが美味しかったと言っていたよ。」
と言ったので
兄弟たちが、顔を見合わせて驚いていると、その猟師は、足を引きずりながら、藪の中に入って行ったので、すぐに兄弟たちは、お店に帰ると、板と大工道具を持って山道に戻り、山道を通る人たちが、崖から落ちないようにと、柵を建てて、その柵の前に、道祖神様を祓った大きな祠を建てたり、大蛇の穴に落ちないように直して、そして、兄弟たちは、その山道を通って行商に出かけるたびに、祠の前に、おまんじゅうをお供えしていたので、兄弟たちは、不思議な力に守られて、行商の先々や行商人仲間たちから、可愛がられたということです………とさ。
終わり
童話のお義母さんからのメッセージです
【私の拙い話を読んで下さっている皆様へ】
私の拙い話を読んで下さいまして、本当に、有難うございます。
この178の話は、去年の暮から空想をしていたのですが、新年を迎えた頃から、花粉の症状が出て、集中することが出来なくなってしまい、桜が咲く今頃に、やっと出来上がりました。が、私は、今年も、やはり、あれこれ空想して、1話でも多く文章にして、ブログに載せたいと思っていますので、どうぞ、相変わりませず、宜しく御願い致します。そして、読んで下さっている皆々様にとって、今年、令和8年も、笑える事が、たくさん有る、穏やかな日々の積み重ねとなります様
お祈り申し上げます。
2026年 3月

