夢見がち [ 結城沙羅 ]
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ベッド導入の日


先の記事の続きになります 


其れから直ぐに、病室に呼ばれ

主治医の先生から

「今病人さんは呼吸をしていない状態です

患者さんはしんどかったと思いますが

未だ、酸素を送った方が良いですか?」と

聞かれました


他にご家族未だ到着されていませんので

沙羅の判断だけです


「未だ苦しみが足らんのやな、未だ死ねんわ」と

辛そうだった病人さんの

息苦しさを思うと

「もう、止めてあげて下さい」としか

言いようは有りませんでした


目の前のモニターは

入った時から

「0」を示したまま

主治医の先生がじゃ、機械の表示は

とおっしゃいましたが

先程から、何も変わっていません


「死亡確認をします」と

時間をお告げになり

皆様出て行かれました

一人残されて

病人さんに告げたのは

「良かったね、是で楽になり、ご両親の元に

行けるねと其れだけでした」


胸を開いてみると

お身体はかっちかちに固い?

この固さは何?と言う程の固さです


見ている間に

瞼のむくみが薄れて行っています


この時に

ご家族にお伝えしなければと連絡をしていたのですが

つながりません

妹が折り返しで電話をくれましたが


お仕事中でも

LINEや携帯を直ぐ取り出して見る事が出来ない場合もある物ね


結局

「お身体を清めますので」と

廊下で待たされ皆さんおいで頂いたのは

16時過ぎ


当然自宅にお連れしました

あれほど病院を嫌がり

救急車で息絶えると言う離れ業をやってのけたのも

病院が嫌だったから


先程まで横に成っていたベッドに

横たえられ

白い布で覆われ

お顔を見ると真っ白です

時間が経つにつれ表情が柔らかく成って行きます


水に溺れて行く呼吸の苦しさから

解放され

呼吸をしなくても漂う事の出来る世界目指しての旅立ち


今日、病人さんは天国に旅立ちます

ご心配頂いた方々にお別れに成ります

有難うございました


沙羅より