父は、話を進めて良いか再度確認してから出かけた。

後、母と二人で居間に残り母が、多分父と打ち合わせをしておいたのだろう、

今夜白井様がお見えに成る件、お見えになったら話は正式に決まって、菊花は準備に入らなければならない件、そして何より、そう、又江姉さまに続いて花嫁道具を準備しなければならない。

急ぎはしないが契約が結ばれたら、来年の4月には事が動き出すので、其れまでには、全て準備して置きたいらしい。


「お母様、そんなに急ぐとまるでその為の結婚と皆様に分かってしまい、反対に不利になるのでは無いですか?」

「菊花、お話自体は既に決まっていて、本契約がこの秋、と言ってももう一、二カ月の間に契約をするという事なのよ?」

「そうしたら、貴方の安全の為には、公にしておかなければならないのよ」


「何故?」

「お父様も議員さんの御話は全てとお思いに成っていらっしゃる訳では無いと思うの、特にご本人ではなく、秘書の方からの御話で、全ての段取りを秘書の方がされた時等は、ご本人は

「秘書が勝手にやった事」と責任回避される方沢山見て来られて、実際最初から藤井のお爺様に御話があった訳では無く、高橋さんも同じように御話を聞いていらっしゃるのですもの、あちらの条件が途中でひっくり返ると、小さな会社等工作資金だけで、潰れてしまうわ、

既にこのお話が出てからでも、お父様は無駄だと思えるような事でも出し惜しみ出来ない状況で動いていらっしゃるわ。勿論それは高橋さんも同じ事、話を公にするという事は、会社を守ると言う事と、高橋さんに無駄な引き延ばしや工作でいらない費用を出させないように警告の意味もあるの。」


母の言う通りなのだろう、仮契約と言えば、受注側は本契約に近いと思うが、発注側は何時でも違約金さえ払えば無い物に出来る訳だ、違約金の大きさによっては、それで良いのかもしれないが、工作資金は一円も帰っては来ない。


「それでも菊花が身辺に注意しなければならないのは、どうして?」

「話が決まってから、高橋様の所の工作資金の分を

何かご注文成り、お取引増やして差し上げる事は出来ないの?」

「其れはダメなの、其れが談合と言われる違反行為になるの、気持ちとしては、話し合いで、解決できれば何よりなのだけれど、本当に競争をしなければならないの」


「出来るだけ安い金額で公共事業を行う事が出来るようにね」

当然のことながら道を通すには工事をして下さる方が必要な訳で、それは市や国の認可を受けた業者にしてもらう、この業者も既に決まっては居るのだろう、小さい一行政では無く地方の事業にしては大きな工事のはずだから、


「動く金額が大きいの、金額ははっきり答えられないけれど、たとえ、人を一人殺めたとしても手に入れたい金額、頼まれ仕事でする人はもっと簡単に事故を起こす」


「でも、お母様そんなにあからさまになるような事有るかしら?」

「貴方はそう思うでしょ?なので、裏をかく人もあるかもしれないからと、是はお父様の立っての願いなの、勿論藤井のお爺様のお仕事も大事な事では有るけれど、貴方の安全の方が大事なの」


「人に言いふらす事では無く、自然に人の耳に入るようになると思うわ、その件は皆白井様にお任せしないと成らないらしいから、今夜にでもお父様とご相談されるのでしょうが」


母は出歩く際は誰か必ず伴を連れて出かけるように指示をして、もう一度藤井の家に寄ってくると出かけた。


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