両親が揃ってお昼の時間には帰って来た、お食事を済まされたら菊花にお話があると言われ、居間で待っていたら、お父様が入ってこられ、後、お母様がコーヒーを持って入ってこられた。


母がコーヒーを注いで下さり一口飲んで父が説明を始めた。

「今、藤井のお爺様の土地に高速道路が通る予定で、土地の買収計画が進んでいる、予定ではすんなりいけば、この秋位には本決まりに成ると思う、まだ契約自体が終わってはいないが、藤井のお爺様の山と後一つ候補に挙がっているのが、高橋さんの土地、位置は真反対なのだが、道を通すのはどちらも設計上少し譲れば問題は無いらしい、基本的には今ある道に沿って通す事が出来れば、買収する面積も少なくて良い訳だ」


「高橋様って養鶏所をしていらっしゃる高橋様?」江姉さまのマンションをお掃除に行った日にお昼を頂いたお店で、声を掛けて来られた方だ。

「彼の山の土地が道路を通す所に使えそうなので、藤井のお爺様と、2か所が候補に挙がってる訳だ。」


「大きな金額が動く、どちらを取るかは、金額にもよるが、買収自体をまとめて出来れば其れに越したことは無い。しかしメインはそうでも何人かの土地を買収しなければならない」

「どちら少なくて済むの?」


「市内部分では藤井のお爺様の方が優位だが、山になるとやは養鶏所の面積で不利かもしれないが、養鶏所は山間部に入っている訳で、市内の土地もどちらにしても必要な訳だから、高橋さんの土地を購入した方が高く着く、なので、有利なのは、お爺様の方が有利だ」

「でも、それなら菊花の結婚のお話はどうつながるのでしょう」


父は、話辛そうにコーヒーに手を伸ばす。

「実は、土地を買収した後、その一部の代金を持参金として菊花に持って行ってもらいたいと言う事だ」

「それは、賄賂に成るのでは無いですか?何方か政治に関係した方に渡るのでしょうか?」

「何も無かったら賄賂に成るが、お前が結婚する時の持参金なら賄賂には成らない、なので、お前に無理を頼みたいんだ」

父の言わんとする所が、見も知らぬ方の所に嫁ぐと言う事それも、政治家で少し位の融通はきかすことの出来る方かその身内の方なのだろう、


「でも、まだお爺様の土地に成るか高橋様の土地に成るかお決まりでは無いのですか?」

「実際にはまだだ、しかし高橋氏にした場合には、この手が使えないから、他の方法を検討し無ければならない、彼には娘さんはいなかっただろう?」


黙ってお話を聞いていた母が

「いらっしゃらないです、後を継いでいる息子さんがお二人、ご一緒にお仕事をされていらっしゃいますが、お二人ともご結婚していらっしゃいます。」と言う


「ならば、本当に賄賂として現金を動かさなければならない、其れをすると、やはり問題になる、なので、相手方は出来るだけお前をに結婚をしてもらう方で話を進めたいと思っている」そこで父は一度話を切った。


「此処まで分かってくれたと思うが、この契約で動く金額は非常に大きい、こんな小さな町の事業としては、何十年に一度出るか無い位の大きな事業になる、なので、これで話が進んでいって、表にでると、菊花お前は気を付けなければならない」

「気を付けなければならない?」菊花には解らなかった。

「金は人の心を動かす、欲しい人間の目の前にあるのに手が届かなくて、一寸悪気を起こしたら人の命等何とも思わなくなったりする、特に今の世の中、交通事故で死ぬ人は幾らでも居る訳で、特に気を付けなければならない」


「事故?ああそれで先日の事故の事?」関係していらっしゃる方はきっと、びっくりしただろう。


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