その夜泊まりのさきが菊花の部屋に戻って来て、母はもう休んだと教えてくれた。そして、島さんからお電話が有ったと言う。

多分お戻りに成られて、明日辺りから御出勤されるのだろう、是で、明日は江姉さまの午後からのお休みが確実になったはず、都さんが二時頃には終わられるだろうから、久しぶりに三人でお出かけしても良いだろう。

菊花は何時の間にか眠りに着いていた。


翌日朝食の席で,午後に御客様がお見えに成るので、夕食まで御準備するよう父から言い渡された。

昨夜とはうって変って忙しげにお話をされる、昨夜の内に何か重大な進展が有ったのだろうか。

母も朝食は御一緒で、気分は落ち着いたからと、気ぜわしげにお話をされる。


今日お夕食に御客様がお見えに成る。

なので、3人がお仕事でお出かけになられた後、夕食の段取りをさきに手配する事にした。

人数が2人分の追加予定、飲み物は普段と変わらず、だが、桜茶のお取り寄せ、婚約の祝い用のお茶と聞くが、今日の配達依頼の中に入っている。

後和菓子を手伝いの者の分も数に入って居る。


食材や日々のこまごました雑貨等はお電話で「松井食品」さんに配達をお願いする。

若干割高な感じもするが、食材はお肉であれ、お魚であれ非常に新鮮な材料をお持ち下さる。

それに、お店に常備していないような「桜花の塩漬け」等も、早めにお願いしたら、ちゃんと都合を付けて、夕方までには一緒にお届けくださる。


材料に不足が出ても。追加をお願いすると、快く配達をしてくださる。

御夫婦でもう30年近く、単車や車で動くのも手早く、お店自体はこじんまりしているのだが、一寸大きなお家の、一人暮らしの方や、御夫婦共稼ぎで、御子さんのお食事御心配されていらっしゃる方には、自家製のおかず物を配達してくださり、足のお悪い方や、出無精な方等、助けて頂いていると言うお話だ。

父の持ちビルのテナントに入居されているので、御店を始めた最初からのお取引になる。


夕食の時間は何時も通り夜7時の予定だが、御昼過ぎには3人ともお戻りになる。早めの入浴、夕方5時には、お客様お見えに成るらしい、どうやら、三姉妹で今日の午後から御買物の仕上げにお出かけしようと思っていたのは取りやめに成りそうだ。

三人とも着るのはお出かけ用のお洋服と言われた。


このお時間でも菊花達に御客様が何方なのか、教えては下さらない。

よっぽど不安がおありなのだろうか?


何時もならお休みを取っている手伝いの者にはわざわざ、出勤要請はしないのだが、さき,静、よし共に出勤要請が掛けられたようで、9時過ぎには皆揃った、農繁期でどちらのご家庭も家の中が煩雑になっている時期なので、皆で、お掃除を始め、それぞれのお洋服をご準備して、お風呂の御準備、

その間、母と菊花と静はお夕食の献立とお食事をお出しする物や、タイミングの打ち合わせ、実際には母が席を立って指示する事は出来ないらしく、菊花が

指示する事に成った。

午前中は大忙しの時間を過ごした。  


一番楽しいと思わない?  沙羅より