「菊花様お父様がお呼びです」

静の呼ぶ声に、緑のお着物の都さんが、慌てて出て行く、車の準備が出来たか確認に行ったのだろう。

と言っても先に言って助手席に座りたいので慌てている。


車は二台一台は父が運転して都と多分姉が乗って行く。

そしてもう一台には運転手に島さんが付いて行くが、こちらには、母と菊花を乗せていく。

一台で全員乗って行けばいいのだろうが、其れをすると、万が一事故に遭遇した場合に、家族全員が災難に遭うので、車を二台に分けている。

都さんが父の車に乗りたがるのは勿論ゆったりした、乗用車だから、田舎道を走ると、クッションがよく聞いてあまりひどい揺れでは無い彼で、江姉さまは、当然移動中でもお仕事のお話をされるので、父の車に乗る。


母と菊花はお仕事のお話もほどほど、

今日の集まりの重要なお客様の情報を、母が教えて下さる。

やはり市の方で今年度の採用をした方の中に、お住まいが他府県の方がいらっしゃって、その方とその方の御兄弟の方が、市長の御家に預っていらっしゃるとの事で、2カ月も過ぎてしまったが、っやっとお披露目に成ったようだ。


ジープにゆられながら、母が知っているだけの、事を教えてくださったが、青木様のお兄様がご一緒で、この方が御身体が弱く静養を兼ねて、この田舎町においでに成られたようで、市長さんも大分気を使っていらっしゃるようだ。


少し落ち着いたら何処かの御家を借りて御兄弟で暮らされるのだろうが、御病気でいらっしゃると、身の回りの事を出来る方を探さないと、おいそれと家から出す事は出来ないだろう。


成らばお手伝いさん候補かしら?

それは幾らなんでも考えすぎ、お父様を馬鹿にしては行けないと母に叱られる。


市長さんの御家は山手の白い新しい郵便局からまだ少し右手の坂道を上った所にある。

訪れた庭先では既に車から降りた方々で門の前がひしめいている。

島さんは母と菊花を下ろし車をユータウンさせて帰って行った。

終わる頃迎えに来る


先に車を降りた分。菊花達の方が早く状況を見渡せる。

車止めから数人の美しく着飾った方達が男性にエスコートされて建物の中に入って行く。

案内の方が指示しているのは、どうやら建物の渡り廊下を抜けた先、

庭先には沢山の方で溢れている。


どうやら戦場はこの庭先のようだ。

菊花は御家に逃げ帰りたく成った。


じゃね  ジープが良いかな 沙羅より


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