そして当日、昨夜電話で頼んだ通り直美は家にいた。

あまり詳しくは話していないが妹の博美さんもいたので、誘拐未遂の時の事を話し合って、これからも気をつけてねって別れた。


直美の家を出る時に迎えの車はと心配してくれたが、公園の近くで待っていると、別れ、叔父に言われた通り急ぎ足で歩いて公園の横を通る時に車のとめてある道路側を小走りに歩いていると、何と、止めてある大きなトラックの陰に不審な足元が見える。


どうしょう?道を変えてあちら側に渡れば通り過ぎる事は出来るが、このまま行くと、まともに目の前に立ちふさがる格好になる。


その時後ろからバイクの音が近づいて来た。するとトラックの陰の人物も飛び出して来て、沙羅は思わず立ち止まってしまった。

ナイフを握りしめ、沙羅をめがけて突っ込んでくる。


バイクから「乗れ!」と桐村さんの声、沙羅は後ずさり桐村さんのバイクに飛び乗った、バイクはすんでのところで木村を除け横を駆け抜けた、植え木の木陰から、数人の男の人が飛び出して来て、木村を取り押さえた。

木村の握ったナイフに血が付いている。


諒助は心臓が止まりそうだった。

桐村のバイクの後ろで沙羅の体が傾いた、桐村が片手で支えている

駆け寄った諒助に単車を渡しながら桐村は沙羅を抱えた。その桐村の腕から血が流れている。


「大丈夫か」諒助の問いに桐村は

「沙羅は大丈夫だ、傷は俺のほうだ、心配するな」と声を掛ける。


病院で目覚めた時には、全て終わっていて、桐村さんが横に着いていてくれた。叔父は後片付けにてんてこ舞いしているらしい。


「あの人つかまったの?」沙羅は恐る恐る尋ねた。

今度はちゃんと捕まえたらしい。


「怖い思いをさせたね」と慰めてくれる。

沙羅がそっと微笑むと桐村さんの唇が沙羅の唇にそっと重なった。


                            完


幸せに 沙羅より