由美子さんの訃報は当然木村の知るところで、彼女が生活の為に高校を辞めたのも、生活の為に援助交際をしなければならなかったのもすべては、父親の起こした交通事故のせいで、何故彼女が被害者にならなければならないのかと、母親に食ってかかったらしい。


そんな時ボランティアで参加している読書会で沙羅の同級生のゆきに沙羅が事故の保険金で大金持ちになって、市内のお嬢様学校にかよっていると聞いて、由美子が死んでしまったのは、全て沙羅のせいと恨みを持つようになったのではないか?


結局は北井刑事が調べてくれた通りなのだろう、それでもまだ木村がつかまったわけでは無い。


沙羅達が安全に過ごすにはどうしても木村を捕まえる必要がある。

それにもし北井刑事の調べた通りなら、何もありさや、直美やその家族まで巻き添えにする必要はない。


狙うなら沙羅を狙えば良いのに、沙羅の友達だと言うだけで、何故直美の妹さんまで巻き添えにならなければならない?


彼女たちのためにもどうしても木村を捕まえなければならない。

どうすれば良い?か

沙羅は自分がおとりになるのが一番なのではないかと思った。

何回か失敗していて自分の素姓がこちらに分かっていることも承知しているに違いないので、あせっているのではないかと思う。


ならば次に何か仕掛けて来る時には、自分が助かろうとか逃げようとかそんなことは考えてこないだろう、沙羅が苦しめば良いと直接的にかかってくる可能性がある。

沙羅なら決してけがをもさせないが友達や、学校の生徒までとなったら、手の打ちようがない。叔父は策を必死に考えている。


男の人が数人集まって意見を出し合い、安全策を考え、それでもこれはという解決策に行き詰っている


沙羅は自分がおとりになるのが一番の解決策だと気付いた。

沙羅の周りからじわじわと被害者の波が広がって行っている、直美の妹など沙羅が見かけたのも、2,3度直美の家に遊びに行って、居間に座っているのを見かけただけ。

それなのに只、沙羅とのつながりだけで、命の危険にまで身をさらすと言うのはあんまりだ。


それと早くしないと、後は誰でもなんでも沙羅のせいと言う事で型を着けようと考える人が出てこないとも限らない。


「諒助叔父さん、沙羅が誘いだせば捕まえられない?」