食事の準備をしながら和さんに桐村さんの事を聞いてみた。
お父様の事業の後を継いで何時も忙しくしている事と、このあたりの顔役で、先代からの仕事の関係で交友も広いらしい、くらいの情報しか聞き出せなかった。
それはそうだ、たとえ田舎の事とはいえ、今時は人の情報はあまり表には出てこない、とくにお母様が亡くなられた後地域のお付き合いも少なくなっているのかも知れない。
桐村さんも一人っ子と教えてくれた。が是は叔父から聞いて知っていた。
おそうめんをゆがいて、冷たい水に漬け置いたきゅうりと、レタスを切って、豚肉を湯通しして冷しゃぶにする。
お湯をたくさん使ったので和さんと沙羅は真っ赤な顔をして、大忙しをした。これくらいは仕方がないだろう、なんせあれだけ皆に心配させてしまったのだから。
桐村さんも一緒に食事をして今から福知山の駅前の事務所によるらしい。
沙羅も何か買い物があれば連れていくと言われ、急に買い物と言われてもどうしようと迷っていたら、諒助叔父が
「日傘を買ってきたら」と言うので一緒についていくことにしたが、今日の桐村さんは一寸怖い。