沙羅には心配掛けないようにと思っては居たけれど。

二週間位前に木村がお前の友達を迎えに行って同じ車に乗って出かけたのを池田君が確認をしたと報告を受けていたので、もうこれ以上放っておけなくなってこちらも動く事にした。


「でも諒助叔父さん、ありさは沙羅なんかよりお金持ちだよ、大きな旅館の一人娘で、多分卒業したら旅館を相続するはず。そうしたら大金持ちに成るでしょう、だってもうありさと結婚するんですもの」


「現金があるのと、土地や建物があるのと、増して両親が揃っていて相続をしても、養子なら親の良いなりに成るしかないし、そんな面倒なことはしないと思う」


「でもありさは、申し込みをされたと言っていたわ、だから今日家に泊めるつもりだと思う」


「沙羅、未だある、兄貴達の遺産相続とは別に、俺に何かあったら俺の会社や、家やマンションもお前が相続する事に成っている。」

沙羅は叔父の顔を見詰めた。そして何も言わず、じっと話を聞いている桐村さんが此処にいる理由が何となくわかったような気がした。


書類のような紙きれでは無く、叔父と共に行動する事によって、例え諒助叔父の身に何事かあったとしても、沙羅はいち早く桐村さんに連絡を取るのではないか?


共に在る事で築き得る家族のような信頼、ずーっと二人に守られて来たのだ。

あの父母が事故で他界した夜から後ずーっと。