マンションの出口で入れ違いにジーパンにジャケットを羽織り手に袋をぶら下げた若い男の人とすれ違う。

沙羅は一瞬息がとまった。高校一年の時の誘拐未遂の時の恐怖を思い出し直美の後ろに身を引いた。

直美がどうしたの?と言う顔で沙羅を振り向いたが、沙羅は慌てて首を左右に振って何でもないと伝えた。

入って来た男の人も沙羅の様子が気に成ったのかスーッとこちらに視線をよこす、沙羅は慌てて眼を伏せ、直美の腕を取って入れ違いに外に出た。

後ろで自動ドアが閉まったが沙羅がそっと振り返るとその男の人も振り返って見ていた。

沙羅は背筋が寒くなった。