今日は8月16日

お盆の送りの日よね

お盆の間

御家に迎えてお食事や

綺麗なお花やろうそくの明かり

御線香の優しい香りに

遊んで頂いて

今日は皆様あの世にお戻りになられる


お盆の間は例え蚊で有っても

殺生はいけません

蚊の魂に乗って戻って来てるかもしれないから

と教えられ 只暫くの間

憩えるようにと御迎えをして

今日はお送りする


この日に

ある中学2年生の子供さん

この時期荒れていて

父母が離婚し

お婆様が一緒にお暮らしになっていましたが

手がつけられなくなり


お婆様も引っ越しされて

広い家に一人残されていました

家のローンは子供の為と

お婆様とお住まいの時から

お母様がお支払い

父方のお婆様と暮らしてましたが

ガス、電気も切られ

ゴミの山の中に一人捨て置かれたのです


8月16日

何故か胸騒ぎがして

お母様がこの家を訪ねます

車庫に入って電気を点けようとしましたが

点きません、夕方の薄明かりの中

ドアノブに手を触れると

ドアが開きます


勝手知ったるわが家

暗い玄関から中に入り

息子の名前を呼んで見る

声はしないが人の気配

家の中は所構わずゴミが散らかり


一緒に住んでいらした方が

慌てて逃げたの様子がうかがえます

階段を上がり息子の部屋を見ようと

登り初め階段の途中で

息子の名を呼びます


呼んで正解

彼は階上の壁の裏に身を寄せ潜んでいて

もし声を立てずに上がっていたら

階段の上部から

突き落とされていたかもしれません


母の声と気付いた彼は

ライターで辺りを照らし

足元危ないから気を付けてと

自分の部屋に案内してくれます


そして彼の言う事に

「地獄って本当に有るか?」と言う

今丁度地獄の釜の中に

足を引っ張りこまれそうにになって

もがいていたと言うのです


「北向きで寝ていたからかな?」と心配顔

母曰く今日は8月16日盆の送りの日

地獄の釜の蓋が閉まる日

ゴミにうずもれ

食事の手立ても無く

何を思ってこの家に一人で隠れ住んでいるのか


父親がいる間は

友達の家や先輩の所に行って泊まり歩き

家に帰ってくることはなかったらしいのに

父親が再婚して出て行くと

戻ってきて祖母と2人暮らし



この時8月16日に母親に

名字を捨てるように言われ

母親の元に引き取られる事になったとの事


只、多分たった一回きりの

タイミングだったのではないかと思います

この日の地獄の釜の蓋が閉まると言う話を

彼は何処で聞き及んでいて


この逢魔が時

夏の夕暮れ、薄闇の中

一人でいると

どんなに強い心をお持ちの方でも

何故?と言うほど心が弱くなるとき

気遣って訪ねて来てくれた母に見せた


ほんの一時の理解の時

彼が家族の絆をとても大事にされているのは

この一瞬があったればこそ

そして地獄の釜の蓋は

彼の後ろで音も無く

閉じられたよし


その後彼が絶対的な信頼を預けているのは

お母様に対してだけ


御仏となり

黄泉の国を渡る風に乗り

此の世の不幸を祓い

生有るものに見ている方々おある事を

教えて頂き

人々の幸せを見届け黄泉の国へとお帰りに成る

遠い地にお帰りになられて

ゆっくりされますよう

あの世にお戻りが無事に行きつけますよう


愛されていると言う夢  沙羅より