今回のバイトも真吾君は近くの別のホテルに行くというので引き受けた。

恋人たちに幸あれ!というわけで今日は一人旅、少しの緊張と、とてもわくわくしている。

 

指定席に着いてみると、通路側の席に男性が座って新聞を広げている。

体格の良い、上背がありそうで、空手やラグビーのように、荒いスポーツをするような体形の人、でも筋肉がちがちなほど怖くはなさそうだ、紺の背広を着て外したネクタイがポケットの縁から覗いている。

チラッと座席を覗いてみたら窓際だ、こちらから声をかけなければならない、「あれっ」見覚えのある顔だ、

大きな荷物を網棚に載せようとしたら、席を立って手を貸してくれた。沙羅はその人の肩ほどの高さもない、

「君は窓側の席だね?」と言いながら席を空けてくれた


沙羅は戸惑った

諒助叔父の親友の桐村さんだ、

背広姿なので直ぐにわからなかった