難を逃れた林にて
暫し憩える場所を求む
北風曰く
我が身にて
訪ね行けば
あの弱りし女人
息絶える
さりとてこのまま止め置きもならじ
先の小屋の漁師をば
起し手助けさせようと
北風急ぎ走り去る
林の中に
風ぞ渡る
北風訪ね来たるは
村一番の
貧乏漁師まだ舟を持たず
仲間の漁に加わり
その日暮らし
家の中には僅かばかりの
家財のみ
今日も今日とて
時化にて舟出やらず
天井眺めてうたたね
時折吹く風に
ため息つきぬ
次へ沙羅より