風と戯れ

波と遊び

暫し時の過ぎ行けど

海より見やる

雲の先

中々先に進まずに

見やりて北風嘆くなり


一昼夜の時過ぎ去りし

北風我を止め置いて

あの雲の先

眺め来る


異なことこのような雨風の中

小さき船の訪ね来る

北風子船をめがけて

息吹きかけて

確かめ見たなれば

渡りゆく小舟の中に

帆を操る男たち


陰に寄り添う女子達

あわれ波間に浮き沈み

北風思わず力貸し

小さき入り江に帆を進めたる


入り江の風暫し留まりて

男の中に力ある

一人が波間に飛び込めば

続く男の腕には

艫綱結わえて

泳ぎ来る


命からがら

岸辺に辿り着き

力合わせて

舟引き寄せる

浜辺に引き上げ


倒れ行く

舟より出し

女子達急ぎ駆けより

肩を貸し

先に見ゆる林まで

とにかく難を逃れたる


次へ  沙羅より