北風曰く

そろそろ参ろうと

我を腕に担ぎ

高き空に駆けのぼる


先に見ゆるは

日の本の国

三つの部落にて

国を成す


海の民

山の民

平原の民


海に小舟が浮かび

磯で子供ら貝拾い

浜で女子の立ち働いて

開いた魚を

天日干し


山今まさに

紅葉の真っ盛り

猟師三人連れ

大きなイノシシ担ぎ

山道ゆるりと下るなり


子らの口笛響いてあれば

栗の実入れた籠を担ぎ

器用に山道下りくる


山小屋の屋根から

白き煙の伺えば

マツタケの香り辺りに

漂うなり


山里の大きな小屋に

歌の聞こえ

何やら楽しげな男たち

稲穂の刈り取り終えたれば

山と俵を積み上げて

今まさに

実りの感謝の村祭り


老も若きも

にこやかに

実りの感謝を

御社に向かいて奉納

高らかな柏手響く夜更けなり


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