北風遠く見やり

雲を探す

我今より進みゆくは

あの山目掛けて

進むなり


遥か遠く集いし

君が友会いに行くゆえ

その前に

蒼き海を渡りゆく


さすれば御ん身

少なからず

力蓄え行けようと

蒼き海めがけて

駆け下りる


穏やかなる

波目がけ北風

ピューピュー吹き付ける

大波小波の

揺れてあり

小さきダンスを

踊りだす


さすれば北風

波立ちし泡の中より

小さき霧を

くるくると束ねて

我を包むなり


幾度となく

空へ駆けのぼり

幾度となく

蒼き海へと駆け下りる


海の時を過ごして後

その目に僅かなる

安堵のまなざし


高き空より眺むれば

遠くの雲尚も

漂いて黙々と働きある


北風曰く

この地暫く留まれば

御ん身遥かな力持ち

雪を蓄え 行けようが


さすれば

地のもの凍りてある

先の雲達

中々に力強く

雪の深く見えるほどに


あの後余り力蓄えし

汝連れゆけば

あの地にて

動くもの見えなくなる


汝力余れども

この旅僅かに使うのみ

あの雲去らぬなら

あの地には

行ってはならじ


今暫く

この地にて

波と戯れ過ごすなり


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