好きな作家さんの一人、加納朋子さんの新刊文庫です。
加納さんの作品は、ファンタジー的要素がありながら、どこかr冷静で現実的な視点があって面白い。
とても温かなんだけど、あーめでたし、めでたし的な子供だまし感がない。
今回の帯にはドラマ化の帯が。
ほお。真琴つばささんが主演なんですね。
ああ。でも昼ドラなんだ。
そう思いながら取り合えず購入。
ドラマのキャストはあまり気にせず、自分の中で自由にイメージ膨らませて読み始めました。
読み始めてしばらく。
これは失敗したか?
と少し後悔。
うーん。加納さんの小説で登場人物に違和感もったことはあまりないのだけど、物語の展開がどうも、「渡る世間は鬼ばかり」ではないけれど、なんとなく、あ、そういうふうにお話すすめちゃうんだ、という感じで。
主人公陽子の考えには同意出来るけど、行動に同意出来ない。
キャラクターといえばそれまでなんだけど。
ストーリーは、
編集者として夫より高給とりでバリバリしかしハードに仕事をこなす山田陽子←主人公。
陽子には旦那信介と、可愛い息子陽介がいる。
旦那信介の姑様は近居でそれなりによい関係を築いてきた(つもり)。
陽介は今年小学1年生。
小学生になって少し手を離れて楽になるかと思いきや。
PTA、学童保育父母会、自治会役員、次々と陽子に襲いかかる苦難(!?)
陽子がそれらと、そして時には身内ともいかに闘うのか。
その中で親子の絆は果たして無事なのか!?
って感じでしょうか。
まず女の生態はすごく丁寧に書かれてます。
そーですよ。このめんどくさい感じが学生時代にもありましたわ。
人前でごく真っ当なことを発言した人がいただけでその人を「変な人」扱いするのが女(全部が全部じゃないけどね)。
私はもうひたすらめんどくさいからそういうのから逃げて過ごしてましたけど。
仲良しの友達はみんなさばさばした女の子ばっかりだったから、全員でそういう人間関係から集団で逃げてましたね。
そういうめんどくさい女の足の引っ張り合いは消耗します。
今思えばその時代は恵まれてたなあ。集団で逃げちゃえば「変な人達」だから。
所詮学校というせまい枠だったから生活かかってなかったし。
(あ、やらなきゃいけない役割とかはちゃんとやってましたよ。きまじめな友人達ですので)
話はそれましたが。
そうなんです。
あまりにもめんどくさい女の生態がこれでもかと出てきますので、途中しんどくなったのです。
ところが。
なかなかに魅力的な登場人物が出て参りまして。
その名前は出しませんけれども。
そこからページをめくるのが楽しくなってしまいまして。
そしてそこまでに出てきた微妙な印象だった登場人物の違う表情も描かれまして。
ほおおお。と惹きつけられたのです。ますます。
つまりは、始まりのほうのしごく、ムカムカムカムカムカムカするような展開は当然のように後に続く物語の丁寧な伏線であったわけで。
推理モノだったりすると比較的冷静に考えながら読んでるのであれですが、このように感情的になる物語ではうっかり考えずに感情だけで読んでしまっていたことを今更ながらに気づかされ。
そーでした加納さんのお話がそんなしょーもない感情つっぱしりの物語であるはずがなかった。
そして途中意外な真実といいますか。
陽子の過去についても触れられて。
ますますぐぐっと引っ張り込まれる訳です。
こうなるともう止まらず一気に読破です。
読み終わった感想。
単純なめでたしめでたしではないけど、最後の最後まで緊張感あって読んで心地よかった。
そして途中、よけーなこと言いの親戚は約1名出てきましたし、そいつどうよ?って登場人物もいますが、人には歴史あり、行動には理由有り、といろんなものが落ちるところに落ちたという感じでした。
昼ドラなんで見られないですね。
HDDもぱんぱんになっちゃうし。
真琴さんもいいですが、個人的には天海さんに主役の陽子やって欲しいなと安易に思ってしまいます。
美人でスラッとしてて、でもガンガン主張するし、いろんなモノなぎ倒してそして更地にしたところにでっかいビルどーんと建てちゃうようなキャリアウーマン(笑)。
なんか分かったよーな分からんような感想ですが、面白かった、と素直に思える1冊でした。