5月11日は守り人の活動日でした。
清々しい快晴で、徐々に気温は上がり、活動していると汗ばむほどでした。参加者は31名(守り人22名、関西学院大学8名、神戸大学1名)。
朝のミーティングでは、三田市の里山保全課よりお知らせがありました。
三田市では公式インスタグラム「さんだスマイル」を発信中とのことです。
今後、皿池湿原の守り人の活動を紹介することがあれば、みなさんの写真をアップしてもよいかどうか、という確認もありました。
この日は、兵庫県立人と自然の博物館の石田先生にお越しいただきました。毎年5月の活動日は先生と一緒に全ての湿原を巡ります。
また、昨年と同様に、関西学院大学の藤研究室の学生さんたちも、学習活動(SDGs Workshop)で守り人活動に参加しました。
関学の学生さんたちは、先月、守り人の活動以外の日程で皿池湿原を訪れて、湿原やその周辺を観察し、里山整備(里山林の間伐)の体験をしました。せっかくの機会ですので、印象に残ったことや感想を一言ずつ話してもらいました。
ほとんどの方がノコギリを使うのは初めてだったこともあってか、木を伐る体験が印象に残ったとのこと。
「木を伐ることは良くないと思っていたけれど、木を伐ることで良くなる環境もあることが分かった。」という感想を聴いて、石田先生も私たちも大きく頷いたのでした。
石田先生と一緒に、守り人&学生さんたちの大人数で、湿原を巡りながら、湿原環境や周辺の状況を確認したり、生きものの観察をしました。
湿生林では、カザグルマの観察をしました。
昨年秋に守り人の活動に参加した神戸大学のオカダくんは2度目の参加で、皿池湿原でトンボの研究を希望しています。
湿生林近くで見つけたトンボを、トンボマスターのトラタニさんと一緒に観察していました。サナエトンボの仲間のようです。
なんだ?なんだ?と集まるみなさん。
各湿原名の標識も設置していきました。
樹名板と同じく、マルさんが制作してくれた力作!
観察路に被さるように斜めに伸びていた枝を伐っていました。
多様性草原では、モチツツジのピンクの花が咲いていました。
樹名板も付いています。
B湿原で、草に埋もれていた誰かの忘れ物のフォークを見つけました。館へ持って帰りましょう。
G湿原では、早くもハッチョウトンボを発見!テンション上がりますね。
標識も設置しました。
年に一度しか訪れることのない、I湿原。
草刈りをしながら進みます。
H湿原も、手入れをすると明るく良い環境になるかもしれません。優先順位からいうと、なかなか手が回りませんが…。
「ここに標識を付けよう、うん、いい感じ。」
F湿原にサワギキョウがたくさん生えてきていました。
ここは、踏み荒らされたくないとのことで、守り人さんとオカノさんが今年2月に迂回路を作ったのでした。
写真を撮っていたら「迂回路を通って!!」という声が飛んできました。「は~い、了解です。」と、迂回路へ移動。
みなさん、迂回路を通ってくださいよ~。
ヤマドリゼンマイを観に行くと、葉が大きく伸びていました。
先月は茶色の新芽が何本か出ているだけでしたが、たったひと月で、濃い緑の大きな栄養葉が円を描くように広がっていました。
A湿原の標識は「イーゼル型にして置いてみた。」とマルさん。
おしゃれです。
学生さんたちは、先生と一緒にため池近くも観察しました。
「ササユリが盗掘されている!」というので、戻る前に見に行ってみると、大きく掘り取られた穴がありました。
傍にオレンジのテープが付いた棒(みんなに分かり易いようにとマーキングしたもの)が倒れていました。
カザグルマの花が美しく咲いていました。
生きものがその場所に居ることには意味があるのだと思います。
午前の活動はここまで。
今年も新日本カレンダーさんが「皿池湿原の守り人カレンダー」を作ってくださいました。ありがとうございます!!
カレンダーに掲載された写真は、守り人さんたちが撮った写真の中から選んだもので、活動に参加された守り人さんに配布しています。
ところで、ここまで読んできて、なんだか楽しそうな活動だな~自然も生きものも好きだし、月に1~2度なら参加しやすそう、興味あるけど、保全活動などしたことないし…という方は、守り人養成講座に参加してみませんか?詳細は、こちらのチラシでチェックしてみてください。(今年度の募集は終了しています。)
午後の活動は、守り人さんは自由参加です。
午後も参加の守り人さんと学生さんは、A湿原の深く掘れてしまった水路対策を行いました。
ほかに、ワタナベさん発案のハッチョウトンボの調査のための人工産卵床のセットと、イノシシ防除柵の撤去をしました。
以前も石田先生の指導の下、湿原の乾いた場所に落ちている丸い石を運んで、水路に置いたことがありました。石で堰き止めて、水を湿原へ溢れさせようというものです。
今日は人数が多いので、あっという間に水路にたくさんの石が並びました。そもそも湿原の中央部は少し高くなっているので、水を溢れさせることが、なかなかむずかしいのです。
地面に埋まっている石は、スコップで掘り起こしました。
間伐したハンノキの丸太も使いました。
どんなふうに置くのかが難しいところ。
イメージ通りに上手く水が広がっていきますように。
作業が終わったタイミングで、石田先生がニホンアカガエルをみつけて見せてくれました。
小さな個体で、まだ成体になったばかりかもしれません。
トノサマガエルもひょっこり出てきて、またまた観察と撮影がはじまりました。湿原とその周辺の環境が保全されていてこそ、生息できる生きものがいることを実感してもらえたと思います。
あちらこちらに、ハッチョウトンボの人工産卵床がセットされていました。
イノシシ防除柵の撤去はヨシダさんが担当してくれました。
戻る途中で、ヤマザクラのタネを採集するために、観察路に敷いていたネットを回収しました。
ヤマザクラのタネをなぜ集めていたのかについては、こちらで。
カマツカの可愛い花が満開でした。
セトウチサンショウウオの卵嚢や幼生の様子も観察しました。
本日の活動の最後に、石田先生から「来るたびに湿原環境がよくなっているのは、守り人さんたちの活動(保全等の取組み)のお陰です。引き続きよろしくお願いします。」というコメントをいただきました。
ますます良い湿原とその周辺環境を目指して活動していきましょう。
参加された守り人さん、お疲れさまでした!
学生さんには、盛りだくさんの1日でしたが、いかがでしたでしょうか。
これから夏に向けて、観察会や見学会がたくさん予定されていますので、守り人のみなさんには、さらに活躍していただくことになりますが、どうぞよろしくお願いします!
学生さんも、ご興味あれば、引き続き参加してくださいね。
6月もこの場所でお待ちしております!!