9月15日は守り人の活動日でした。
まだまだ夏のような暑さで、熱中症に注意しながら、汗まみれになりつつの活動となりました。参加者は11名(見習い守り人3名含む)。
本日の活動は、観察路のぬかるみに架けた木道のメンテナンスやコクランのマーキングします。
何か見つけたようです。
今年もナンバンギセルが出てきていました。
観察し易いように手前のササを少し切っておきますね、とフジイさん。
オレンジ色のキノコが、朽ち木ではなく地面からたくさん生えていましたが、何というキノコでしょうか。
A湿原近くで見つけたリング状に穴の空いた葉っぱ。
これはムササビの食痕では?とのこと。
ムササビは葉を二つに折って食べるので、このような形になるのが特徴だそうです。(葉の周縁部には有毒なフェノール類が多く含まれるため、中心の美味しいところだけを食べる工夫と考えられている。)
ということは、皿池湿原にムササビが棲んでいるのでしょうか。夜空を滑空するムササビを想像するだけで、ワクワクしますね。
巣箱を設置すると意外と簡単に観察できるかもしれません。
朽ちかけた木道は危ないので、まずは撤去して新しいものに架け替えます。材料は用意していましたっけ。
何本か斜めに生えたソヨゴを伐りましたが、それでは足りません。G湿原に間伐したアカマツが置いてあるので、取りに行きましょう。
長いので、必要な長さに切ってから、運ぶことにしました。
いつものように、4人一組になってネットを張った担架で運びます。
半端な短いマツは、見習い中のマツダさんが肩にしょって運んでくれました。「重くないですよ。」
気になっていた斜めに生えた杉の木も伐ることにしました。
「よし、伐ってやろう!」という守り人さんが、交代で、汗だくになりながらノコギリの腕前を披露します。
スギが密に生えているので、どうしても掛かり木になりやすく、引っかかったスギは、ベルトを巻いて、せーのっ!で引いて倒しました。
ヤマドリゼンマイの前の木道も整備します。
シンプルに番線でキュキュッと締めて揃えて渡りやすく整えました。
これでいかがでしょうか。
無意識にここを歩いてしまうような木道を設置して、木道以外の地面を踏み荒らすのを防止する狙いがあります。
また、地表面に物を置くと植物が生える場所を奪うことになるため、なるべくコンパクトな設計にしてみました、とヒノさん。
コクランが生えている場所にマーキングもしました。
ここで最初に見つけたときは3個体だけでしたが、大きな葉っぱのものから、小さなものまで、数えると20個体以上が確認できました。
「ヒナノシャクジョウが、まだ一つ残っていますよ!」というので観に行くと、ショウジョウバカマと一緒に、落ち葉の中から顔を出したヒナノシャクジョウがいました。どこか分かりますか?
午前の活動はそろそろおしまい。
館へ戻る前に、ミズギボウシの様子を観ていきましょう。
ミズギボウシとキセルアザミがたくさん確認できました。
午後の活動は、木道のメンテナンスの続き作業をしました。
寄せ集めではありますが、渡りやすくなったのではないでしょうか。
ベンチの木も朽ちていたので、ついでに取り替えました。
座り心地はどうでしょうか。
短時間で仕上げたため、とにかく連結した感は否めません。
次からは、見た目と座り心地の良さも目指しましょう。
湿原へ向かう観察路には、可愛い白い小さな花を咲かせているメリケンムグラが、たくさん生えていました。
近年、生育範囲を拡大している注意が必要な外来植物の一つで、河原などの湿った場所に侵入、定着しています。マット状に群生するため、在来の湿生植物との競合が懸念される植物です。
一昨年頃から、皿池湿原の入口付近で見かけるようになり、奥へ奥へと急激に広がってきているので、できる限り抜き取りしました。
木道とベンチのメンテナンスも終わって、今日はまだ時間が早いので、もう一つ作業することにしました。
可動式のチッパーを、館から湿原の入口付近まで押して移動させます。
そう、集積場所に積んでいる間伐材をチップ化するためです。
たくさんあった間伐材が、あっという間に減っていきます。
チップは、観察路に敷きました。
まだまだ間伐材はたくさんあります。この続きはまたいつか。
多様性草原へ行くと、オミナエシが咲いていました。
種から苗を育てて、春に植えたものです。
花が咲いてくれると嬉しいですね。
同じく春に植えたミズギボウシはササに覆われながらも、花を咲かせていました。
カワラナデシコの花は咲き終わっていましたが、見つけることができました。
ツリガネニンジンは、一輪だけまだ咲いていました。
館の横に「タムラソウが咲いてる!」と守り人さん。
草ぼうぼうのどうってことのない隅っこですが、ツリガネニンジンが咲いていたり、フキノトウが生えてきたり、いつも発見があります。
本日の活動は、ここまでです。
でも、今日はまだ終わりではないんです。駐車場から入口までの道に生えている、アレチヌスビトハギを刈り取りつつ帰ってくださ~い。
道沿いの草地は、まばらに生えていたので、なんとか刈り取りができましたが…。
駐車場近くは、アレチヌスビトハギが群生していて、こういう状態になると手刈りでは無理です。
「なるべく早く刈払機で刈り取って焼こうか。1日犠牲にしてもかまわへんで。」と提案してくださる守り人さんがいました。
有難い提案ですが、ここは三田市の公園です。条例で植物の採取も火気の使用も禁止されています。
街をよくするための条例が妨げで、生態系が損なわれるのはとても残念なことです。
ここ数年で、アレチヌスビトハギの生育地が急拡大しており、今まで見かけなかった場所でも群生しているのをよく目にします。
花の時期にタイミングよく刈り取れたらいいのですが、結実後に草刈りすると果実まみれになります。
業者が刈り取りを行う道路や公園など国や自治体の管理地でよく群生している傾向があるように感じます。
草刈り業者が意図せず種を運んでいるのかもしれませんね。
守り人のみなさん、本日もお疲れ様でした!
来月からは、恒例の秋の湿原管理です。
秋風の吹く、気持ちのいい湿原で、お待ちしております!