2月13日は守り人の活動日でした。

 

この日も天候に恵まれ、暖かい活動びよりとなりました。

参加者は守り人19名、関西学院大学の学生さん2名。

 

 

大学生のソメヤ君は一昨年の12月以来2回目、オカ君は初めての参加です。さっそく、お二人にも「守り人活動参加者チェックシート」に体温や体調などを記入してもらいました。

 

 

参加者が多いと、いつも以上に話も弾みますが、感染拡大防止に十分に気を配りながら、安全に楽しく活動しましょう。

 

本日の活動は、前回と同様、昨年より継続して実施しているA湿原フェンス沿いの里山管理とJ2の整備です。午後には、多様性草原のコナラを玉切りしたものの運搬と、その周辺の枝葉の片付け、材の巻き枯らしなどを行います。

 

 

J2の整備を進めているヤマムラ班長から、本日予定している作業について説明がありました。先月に引き続き、「両生類を救いたい」という熱い想いで試している取り組みを進めるとのこと。

 

 

先月も紹介した皿池湿原とその周辺の地図が、一枚増えたことにお気付きでしたか。一番下に1974年の地図を加えました。

当時は、もちろんテクノパークは存在せず、そこには里地里山が広がっていました。水田や畑、ため池、水の湧き出る小さな湿地も多くあり、サギソウ、トキソウ、カザグルマなど、皿池湿原ではお馴染みの、しかし、今では希少となってしまった生きものも、とくに珍しいものではなかったようです。

 

 

J2では、10名以上が作業していました。

当初は2~3名で作業していた場所ですが、これまでで一番賑やかでした。人気の理由は、両生類への興味と、熱心に取り組む班長さんの魅力によるものでしょう。

 

 

木を運ぶ若者たち、それを組んでいくベテラン守り人さん。

シェルターづくり、つまり、両生類の産卵場所を整備しているのですね。

イノシシのぬた場にならないように、「イノシシが何を嫌がるかを考えて」尖った石を置いてみるなどの工夫をしていました。

 

 

うまく水が溜まって、両生類にとって居心地のいい場所になりますように。

 

 

A湿原のフェンス沿いの里山管理もかなり進んでいました。

伐採枝葉入れ(バイオネスト)が満杯近くなってきましたので、少し離れた場所に新たなものを作ります。

J2の作業に参加していた学生さん2人もこちらへ合流しました。

まずは、木の先を削って4角に立てる柱を作り、打ち込みます。

 

 

学生さんは、当然ながら、鉛筆をナイフで削った経験はなく、もちろん、ナタで木を削るのは初めてだそうです。

ワタナベさんから、「ナタは、軍手を外して素手でもったほうが滑りにくいよ」、「力を入れすぎず、振り下ろす力を利用して削るといいよ」など、いろいろとアドバイスをもらいつつ、上手にナタを使うソメヤ君。

 

 

先を削った木は、掛矢(カケヤ:大型の木槌)で打ち込みます。

 

 

次はオカ君が挑戦です。「むずっ」と言いながらも、頑張って削ってくれました。

 

 

掛矢での打ち込みにもトライ。

先が割れてるけど、気にしないでOK。

 

 

いい感じの仕上がりです。

 

 

奥もずいぶん明るくなりましたね。

 

 

伐採した木は、フェンスの外へ運んで、斜面にきれいに積まれていました。

 

 

この日も青い空が美しく、気持ちよく作業が捗りました。

 

 

イノシシの害は、とりあえず防げているようです。

午前中の活動は、ここまで。

午前だけ参加の方、学生のお二人も、お疲れ様でした。

 

 

午後の活動では、巻枯らしを実施しました。

これはネズの木です。

巻枯らしは樹皮を剥ぐことで、養分・水分の通導を遮断して木を立ったまま枯らす方法です。植林地において木を伐り倒さずに間引くことができる管理方法として知られています。

しかし、今回は木の間引きが目的ではなく、できるだけ割れのない良い状態の材を入手するためです。

木を伐り出した場合、乾燥させている間にひび割れることが良くありますが、徐々に木を枯らして乾燥させることにより、割れは生じにくくなります。また、切り出した材を乾燥させるスペースを確保しなくてもよいというメリットもあります。

 

 

実は、巻き枯らしに向いているのは、木が水分をたくさん吸っている4~8月で、その時期であれば樹皮が比較的簡単に剥けるそうです。

今回はスケジュールの関係もあって、時期がちがうのは承知のうえでしたが、交代しながらきれいに剥ぐことができました。

 

 

こちらでは、大きく傾いて伸びているスギの木を巻き枯らしします。

チェーンソーなど使わないので、手法としては取り組みやすいかもしれません。一方で、巻枯しすることで、穿孔虫の温床になったり、枯れた木が倒れることもあるため、注意も必要です。
安全配慮を十分しつつ変化を見守り、適期に伐倒して材を活用したいと考えています。

 

 

巻き枯らしの作業が終わると、多様性草原へ移動しました。

株立ちした大きなコナラを見上げながら、「この木でツリーイングとかできそうだよね」などと話す守り人さんたち。

 

 

玉切りしたコナラは、活用するために運び出し、放置されたままの伐採枝葉や刈り取った草は、チームワークよく片付けました。

人数少なめでも、いつも通りの手際の良さは、さすがです!

 


植物好き女子が熱心に観察していたのは、サクラバハンノキの花(花序)です。雄花序に無数の雄花がついていて、指ではじいて黄色い花粉を煙のように飛ばしてみたり、写真を撮ったりして、とても楽しそう。

サクラバハンノキは、湿地に生える落葉小高木で、雌雄同株。葉の展開(広げる)前に開花します。

 

 

風媒花なので、風が花序を揺らすたびに大量の花粉が飛散し、ハンノキ花粉症のアレルゲンになっているそうです。

 

 

長く垂れ下がっているのが雄花序、上向きについている小さいのが雌花序です。雄花序は受粉が終わったあと地面に落ちますが、雌花はこのままで秋頃に実(果穂)になります。

 

 

多様性草原からサクラバハンノキ林へと通ずる周辺は、すっきりと管理が完了しました。

 

 

館に戻ると、昨年と同じ場所に、フキノトウが顔を出して春を告げていました。

 

みなさま、本日もお疲れ様でした!

次回も、春を感じながら、楽しく作業を進めましょう。

ご参加お待ちしています!