12月12日は守り人の活動日でした。
この日は朝は冷えたので、みなさんたくさん着込んで来られていましたが、予想に反して暖かく、ジャケットなどを1枚脱いで活動しました。
参加者は16名
皿池湿原では、現在10か所の湿原が確認されています。
板に貼って掲示しているのは、新たに作成し直した湿原の位置と観察路がよく分かる地図です。
各湿原をA~Ⅰで区別しているため、「アルファベットで言われてもどこだか分からない。」という声が以前から多くありました。
場所の特徴など、みなさんの意見もいろいろプラスして、より見やすい地図にしていきます。
さらに、この地図には、湿原のどこで何がしたいなど、やってみたいことを付箋に書いて貼ってもらいます。
6月の活動再開時より、毎回、市へ「守り人活動参加者チェックシート」に当日の体温や健康状態等を記載して提出することになっています。体温計のない場合や測り直したい人のために体温計も準備し、消毒液も入口に置いています。
本日は、人と自然の博物館(兵庫県立大学)の石田先生にお越しいただきました。各湿原の様子を、イノシシ被害なども含めてご覧いただいて、ご助言等をいただきます。
また、継続的に取り組んでいる、A湿原フェンス沿いの里山管理を行います。
イノシシの掘り返しが、先月より激しく、ひどくなっていました。
凄まじいですね~、これはひどい、とショックを隠せない石田先生。
イノシシの掘り返しが適度であれば、湿地にはそれ相応の回復力があるはずです。しかし、数頭が、かなりの頻度で掘り返しに来ているとしたら、湿原の植物への悪影響が考えられるため、何か早急に対策をとった方がよいかもしれません。
こちらの湿原もずいぶん荒らされていました。
イノシシの好むものがあるとも思えないのに…、早く飽きて来なくなってくれればいいけれど。
先月、主要な通り道と考えられる場所に仕掛けたトレイルカメラには、イノシシが3頭映っていました。引き続き、トレイルカメラでの調査は続けてみます。
そんな湿原に、ミミカキグサがまだ咲いていました。
暖かい日を浴びて、あちこちに黄色い花が見られました。
寒くなってから咲くものは花茎が低いそうです。
湿原の入口の細い木のやや低い位置に、泥が付いていました。
イノシシが体をこすり付けた跡です。
この高さを見て、イノシシの大きさが分かったりするそうです。
先月見つけたコクランは、踏みつけられないよう、マーキングされていました。
少し離れた倒木と落ち葉の陰に、もう1株生えているのをフジイさんが発見!
石田先生が「アンモナイトみたいで可愛いですよ。」と、撮影されているものは…?
ヤマドリゼンマイの落ち葉が乾燥して、くるりんと巻いた形になっていました。面白い!
A湿原にもイノシシの踏み跡がたくさんありました。
湿地に残されたイノシシの足跡です。けっこう大きい。
蹄と、後ろ二つの副蹄の跡も、くっきりと残っているのが確認できます。
主な湿原を一巡りしたあとは、里山管理です!
先に作業を始めていたヒノさんたち。
全員が合流しました。
ヒサカキなど、この時期に緑の葉を付けている細い木と、枯れている木は伐って、葉を落としたコバノミツバツツジなどは残します。
伐った木の枝葉は、細かく切ってバイオネストへ入れます。
バイオネスト周りが密ですが、みなさん無言。
里山林に剪定ばさみで枝を切る、パチッパチッという音だけが響いていました。
枝葉がいっぱいになると、踏みつけて嵩を減らします。
まだまだ入りそうです!
J2で作業していたのは、いつも楽し気なカトウさんとヤマムラさん。
ヤマムラさんが、杭作りをされていました。
午前はここまで。
午後に参加した守り人さんは6名。
石田先生とスタッフ入れて10名で多様性草原周辺の整備へ出発。
先月刈った草を集めて集積場所に運びます。
ブルーシートを上手く使って運ぶワタナベさんとシンジョウさん。
カラスザンショウのトゲは鋭いので注意です。
人数少なめでしたが、慣れた動きで作業は捗りました。
懸案事項だった、ため池堰堤の樹木伐採にも取り掛かりました。
安全な歩行の支障になっていたのと、倒木(根返り)が発生すると堤防が壊れてしまったり、木の根が水漏れの原因になったりすることを防止するためです。
伐ったコナラは、樹齢は15年くらい。
支柱が腐って倒れていた「多様性草原育成中」のプレートが素敵に建て直されていました。
「ちょっと低めだけど、いいかな。」と、ヤマムラさん。
ありがとうございます!
枯草色の草原に、鮮やかな黄色のキタキチョウが飛んできました。
冬の寒さにも耐えて、成虫のまま越冬するチョウです。
どこか居心地のいい場所を探しているのかもしれません。
午後の活動も終了です。
アリマグミにオレンジ色のテープでマーキングがしてありました。
この日の最後に、石田先生にも確認していただきました。
アリマグミの特徴である、葉の裏の鱗片と密生する星状毛をカメラの顕微鏡モードで撮影してみんなに見せてくださいました。
アリマグミは、神戸市の有馬付近で最初に発見されたことが名前の由来で、かの有名な牧野富太郎博士が名付けたとのこと。
ここでは普通に見られますが、希少種です。
本日もお疲れ様でした。
来月の守り人の活動も継続して里山管理です。
冬真っただ中の、ピンと張りつめた空気の中で、お待ちしています!