8月23日は、一般市民向け「皿池湿原見学会」でした。
今年の見学会は、密を避けるために、定員を1回20名に減らしての開催です。例年通り、午前、午後ともに、兵庫県立人と自然の博物館のセミナー室において、座学を受けた後、現地を見学しました。
最初に、三田市里山まちづくり課の田中課長より挨拶がありました。
「皿池湿原は、兵庫県及び三田市版レッドデータブックにおいて、貴重な植物群落・生態系としてAランクに位置づけられ、昨年3月には兵庫県の天然記念物に指定されました。」
参加者のみなさんは、博物館の入口での検温を済ませて、マスク着用でセミナー室へ。部屋の入口にも消毒液、座席は1テーブルに1名で交互に座り、ドアを開け放すなど、感染予防に配慮されていました。
座学では、石田先生より「皿池湿原の特徴と魅力」についてのお話を伺いました。湿原の成り立ちや、どんな生きものが生育・生息しているかなどの予備知識を得てから、現地に出発します。
博物館からマイクロバスで最寄りの駐車場まで移動し、そこから湿原まで歩きます。
湿原までは歩いて20分程度です。
猛暑のなか、少しでも木陰があると、ホッとします。
石田先生も愛用の日傘をご持参です。
強い日差しだけでなく、午後の急な夕立にも活躍していました。
ここから先は、天然記念物に指定されたエリアですので、生きものを持ち込んだり、持ち出したりはできません。
グリーンのキャップは市民ボランティアの「皿池湿原の守り人」さんたちです。今回も案内サポートをありがとうございます!
湿原周辺の里山林は、かつては、ヒサカキなどの常緑の植物が密に生えて、ほとんどが見通しの悪い鬱蒼とした暗い林でした。
本ブログでも紹介している通り、現在も守り人の活動の一環で、里山林の間伐やササ類の刈り取りなどの管理作業を進めています。
とくに、このA湿原へと続く観察路沿いの里山林は、明るく見通しが良くなり、格段に景観がアップしています。
実際の守り人の活動現場を見ながらの解説に、参加者のみなさんは熱心に耳を傾けておられました。
守り人さんの説明を聴きながら、オオバノトンボソウなどを観察する参加者の方々。
A湿原のサギソウは、咲いている場所が遠すぎて観察は難しかったものの、サワシロギクやミズギボウシの花は近くで観ることができました。
B湿原では、今回は人数が少ないので、特別に貴重な植物を踏まないように注意を払いつつ、至近距離でサギソウをしっかり観察していただきました。
G湿原では湿原の生きものを間近で観察することができます。
ハッチョウトンボが思った以上に小さい!と驚かれている方、念願だったメスが見られた!と感激される方など、それぞれ楽しんで観察されていました。
間近で観察できるところがあると親しみがわきますね。
守り人さんたちは、この環境を周辺も含めて保全していこうといつも頑張っています!
湿原、ため池、草原、里山林、湿生林と、多様な環境(生態系)があるのが皿池湿原のいいところです。
その組み合わせで、さまざまな景観が楽しめるのも魅力の一つです。
今年も、参加者のみなさんには、サギソウやハッチョウトンボなど、湿原特有の生きものを、じっくりと観察していただくことができました。
この美しい環境を体感していただくとともに、保全することの大切さを感じていただけたとしたら、大変うれしく思います。