一周忌
沙羅が空へ還って一年が経ちました。
沙羅が生まれてからの我が家は良いことづくめ。
その一つに、県営住宅に当選したことがあります。
その家は、当時住んでいた家より部屋数が多く、引越後落ち着いたら沙羅を連れて帰ることになっていました。
でも、沙羅を連れて帰ることはできませんでした。
というのも、一度NICUを出てしまうともうNICUには戻れないことや、家に連れ帰った後は常に私が付き添わないといけないことに、不安を覚えていたから。
その不安をみす越してか、引越の一週間前に、沙羅は病気の身体を捨ててしまったのです。
沙羅なりの親孝行だったのかな。頼りないママでごめんね。
一年前の今頃、病院から『沙羅ちゃんの呼吸が弱くなってしまいました』との電話を受け、夫と私と長女で病院に駆けつけました。
既に沙羅の意識は無く、空気を送り込むことでかろうじて動いている胸の起伏を見て、一番辛かった時間は終わったのだと思いました。
夫と私で沙羅のそれぞれの手を握り、たくさんたくさん感謝の言葉をかけました。
沙羅が冷たくなってしまうまで、ずっと。
その後引越をして、近所の方に『お子様はまだ一人?』と声をかけられます。
仲のよい方には事情をお話しするのですが、大抵は『そうなんです』と答えてしまいます。
その度に、心で『沙羅ちん、ゴメン!』と思っている私がいます。
帝王切開の傷もそろそろ癒えた頃かしら。沙羅ちん、そろそろ戻って来てはいかが?
頼りないけれど、笑顔の絶えない家族が待っているよ。
初めての誕生日
今日は沙羅の誕生日。
一歳になった姿を想像してみるのだけれど、相変わらず小さいまま。
当の本人は成長しないことなんて気にしていない様子なのです。
沙羅が生まれてからの我が家は幸せなことだらけで、つくづく沙羅は天使だったんだなぁ、と思います。
これからも、沙羅が誇りに思えるような家族でいられるように頑張るから。
天国から見守っていてね。
沙羅が遺したもの
沙羅がお世話になった医師から手紙をいただきました。
沙羅の血液からは、遺伝ではない肺高血圧が存在することが、
肺からは、心臓病からくる肺高血圧ではなくて、生まれながらの肺高血圧の存在が分かったそうです。
このことから、18トリソミーの場合、心臓に穴があいていたとしても、手術をすることで急激に肺高血圧を悪化させてしまう可能性があることが分かったそうです。
小さな体にメスを入れて、それで生きながらえてくれるのなら、手術をするという選択肢はあると思う。
でも、私達の場合、仮に肺高血圧の可能性が低かったとしても、心臓の手術は受けさせなかったでしょう。
心臓を治療したところで短い命と分かってたし、染色体異常の子供は全身麻酔から覚めない可能性が高いらしいから。
時々私の夢の中に出てくる沙羅は、常に笑っています。
私には耐えられないくらい苦しい思いもたくさんしたはずなのに。
ふと思い出すのは、おちょぼ口と嬉しそうに私の顔を見つめる瞳。
正直な話、妊娠中から胎児に異常があるのは感づいていました。
胎児の発達が基準より4週間も遅れていても、出産前のモニタで鼓動が急に早く強くなったりしていたのに、医師は『問題ない』と説明してくださったのは、本当に問題ないかもしれないし、妊婦を不安にさせても仕方がないからだと思っていた。
出産直後も、産声が聞こえなくて、やっぱりダメだったんだと思った。
病室に戻り、困った表情の夫が切り出す言葉を待っていた瞬間も、最悪のことを考えていた。
産後の入院中も、いつナースに声をかけられるかびくびくしていた。
そう思っていたから、5ヶ月も一緒に居てくれた沙羅は、本当に親孝行だと思う。
本当は弱虫で寂しがりやのママに、楽しい思い出をたくさんありがとう。
沙羅に出会えて、本当に良かった。
