日本に帰国してあっという間に2ヶ月経った。東京の実家に戻り、とても快適な生活を送っている。就職先も無事に決まり、ホッとしています。

就活の面接でよく聞かれた質問、それは「フランスでそのまま就職しようと思わなかったの?」

 

そうですよね、フランス留学したのにフランスで就職しないのはなぜ、ってそりゃ思うよね。

でもね、簡単にそんな質問してくれますけど、それってどれだけ大変なことか分かってますか?と返したくなる。(もちろんそんなふうに面接官には言いませんが)

 

フランスで私が就職できなった理由、それはいろいろあります。

大きな要因として

①   労働ビザが取れない(私は学生ビザしか持っていなかった)

②   フランスの景気の悪さ、求職の少なさ

③   日本人であることのハンデ、フランス語力不足

このトリプルパンチ、どれをとっても就職には絶大な影響を及ぼす。

3つもこんな要素を持っている私は壊滅的な状況。

 

①   労働ビザが取れない

労働ビザは企業が出してくれるものなのでそのスポンサーとなってくれる企業を探さなければならない。企業は多額の費用と膨大な手間をかけてこのビザを労働局に申請する。

このビザについては様々な噂がある。

・  フランス人従業員では賄えない特殊技能を持つ職種であれば出やすいらしい。(旅行会社の社員程度では無理)

・  たとえ企業に認められたとしても、フランスの大学、大学院を卒業している人でなければ労働局が認めてくれないらしい。

・  大学の選考はその後の就職に繋がるような内容でなければいけない。

 

私の周りではこのビザを持っているという人を見つけることができなかった。おそらくこれに近いようなビザを持っている人もいたが、私とはバックグラウンドが違い参考にすることができなかった。(医者、科学者、料理人、カメラマンなど)。

一番参考になる例は、私と歳が近い友人N。彼女は日本の大学でフランス語学科専攻だった。日本で何年か就職した後、退職し、パリの大学院に行っていた。大学院の専攻は歴史。大学院に通いながらパリの日系の会社で時間制限付きで働いている。大学院を卒業すれば会社でビザをとってくれる、と言われたらしい。が、今年の卒業時にはビザがとれなかった。理由は会社都合、私にはよく分からない。大学院を卒業した彼女は学生ビザが切れてしまうため、このままではフランスにはいられない。1年後にビザをとってあげるからワーホリで働いて欲しいと会社に言われた。ワーホリは時間制限がないが、1年間という制約がある。ということで現在ワーホリ中。

もし1年後、彼女が本当に労働ビザを取れたとしたらすごいことだ。私の知り合いの中で唯一、私にバックグラウンドが近い労働ビザを持っている日本人ということになる。この企業が「ビザとるとる詐欺」でないことを願う。(ビザをとらせてあげる、と誘い込み実際にその気もない悪徳企業も多数存在する。)

 

私はフランスの大学を出ていないので、私にとってはこれが大きな障壁となる。取れるかは分からないビザの為に大学に行くか…とても悩んだ。よく分からないフランスの大学のシステム、20歳そこそこの学生たちに混じり、分からないフランス語で授業を受けることが私にできるのか。大学を卒業するには最低でも2〜3年かかる。その間はどうやって生活していくのか。働かずに数年学生をやるような貯金はもう残ってなかった。

 

※フランス人との結婚というもっともポピュラーな方法で労働許可を得ることも可能。

 

②フランスの景気の悪さ、求職の少なさ

ヨーロッパ、フランス、景気最悪です。

離職率高し、給料も激安。

私が得意とする旅行業、観光業。

毎日のようにテロがぼこぼこ起きるフランスに観光客、日本人は激減。パリもそうだけど、ニースはさらにひどい。

観光業系の需要がどれほど減ったか想像がつくでしょうか。


私が応募できるような職種はだいたい最低賃金。

これが泣けるほど少ない。でもパリの物価はめちゃくちゃ高い。

 

③日本人であることのハンデ、フランス語力不足

一般のフランス人でも大卒だと満足な学歴ではないので大学院に行くのが普通。学校名も就職に大きく響くというバリバリ学歴社会なフランス。そんなフランス人たちに対して日本の大学しか卒業していない私がどうやって勝てるというのか。

恥ずかしい話ですが、私のフランス語力もまったく十分ではなく、まだまだ分からないことだらけ。何よりも大事なフランス語力がなければ最低賃金の接客業くらいしかできません。

 

これらの要素が重なり、フランス就職は今の私には不可能と判断した。もちろん100%不可能じゃない。たぶん方法はある。現に、私は時間制限付きでなら企業で働くことができていた。でも生活していくほど十分には稼げない。

私にとって一番現実的な方法はとりあえずフランスの大学を卒業すること。在学中に時間制限付きでどこかに雇ってもらい、その会社にビザサポートを頼む。(そんな会社が存在するのか…?)

その計画だと2〜3年はかかるので、とても時間がかかるようだけど、実はそれが一番最短でビザがとれる方法なのかもしれない(私調べですが)。

そして、その間の生活費をなんとかしなければならない。これも色々と方法があり、学生ビザでも時間制限付きで働くことができる。さらに、国に申告されない裏のバイトなどもたくさんある。私は知り合いの子供のベビーシッターをやっていたがこれもその一つ。学生には国からの補助金もあり、なんとかやりくりすれば生きていける。

 私もそんな生活をしばらくしていたけれど、本当に大変だった。日本にいればバリバリ働いて稼いでキャリアを積んでるのに、30歳手前になってまでバイトしてる場合か…と思ってしまった。疲れてしまい、結局私は帰国した。海外生活って本当に強い信念が必要だ。諦めたらもうそこで終わってしまう。継続して頑張り続けないと道は開けない。

 

というわけで、日本で面接中に「なぜフランスで就職しなかったの?」って聞かれても、すごく困る。ビザという複雑なシステム、フランス情勢、自分の努力不足…こんなこといちいち説明できない。本当にいろいろと深く、悲しい理由があるんです。

海外で労働ビザをとって働いている人って、本当に尊敬します。