偶然にボックスを一つ拾ったが、そこにはミステリングイという字が書かれていて、中には指輪が入っていた。指輪にはピグマリオンイという字が書かれてあり、一緒に入っている紙には、人の真の愛を捜してくれる指輪だという説明があった。
これは何なのかという気がして、朧に覚えていたピグマリオンイという単語について探して見たが、私が知っているストーリー以外にも、指輪の話が出て来たので不思議だった。
一般的に知られたピグマリオンイの話の後の部分は、次のようだ。
ピグマリオンイは愛を成し遂げた後、妻と幸せな一生を送った。そしてピグマリオンイが老けて亡くなると、妻はピグマリオンイが自分を切実に望んだように自分も彼を忘れまいと決心した。それで、ピグマリオンイの名前を刻んだ指輪を作り彼の指に挟ませ、死ぬまで彼を思い出しながら暮した。
もしかすると、話に出た指輪が、今度私に届けられたこの指輪ではないかと思った。まるで注文したものように私の指にぴったり合い、万事がうまく行くような気がして不思議だった。
誰かの悪戯かも知れないと思ったが、どこでもミステリングイの指輪についての情報は見付けられなかった。
