読書日記 2冊目 /スティーヴ・ハミルトン「解錠師」 | *club happiness* 仙台の写真家 PhotoWin 福田沙織のブログ

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今日もブログを読んでくれてありがとうございます。

 

今年から始めた読書日記。

今回の本は、実は1冊目の「BUTTER」より早く読み終わってたんだけど、BUTTERの読後熱が冷めないうちに1回目を書きたかったので、こちらが後回しになりました(^^;

 

読書日記 2

スティーブ・ハミルトン(訳 越前敏弥) 「解錠師」  早川書房

読了日  2021/1/4

 

こんなにかわいらしい表紙なんだけど、だまされてはいけません笑

 

アメリカ探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞を受賞している

「解錠師」。

作者はスティーブ・ハミルトン、訳は越前敏弥。

 

 

8歳のときにある事件のショックから、話すことができなくなってしまった少年マイクは、叔父さんに引き取られて生活することに。

引き取られてからの学校生活で絵の才能があることがわかり、そしてひょんなことからどんな鍵でも開けられる才能を開花させる。

解錠師としての才能がゆえに、プロの金庫破りという闇の世界で生きることになるけれど、

その闇の入口で出会った一人の女の子と恋をして、そして忘れられずに絵を描き続ける。

10代の最後の数年をそうやって生きた男の子の話。

 

 

550ページを超える長いお話なんだけど、読み終わってみたらあっという間。

アメリカの話だから登場人物の名前がカタカナばっかりで若干こんがらがるんだけど笑。

 

これは、人の「良心」と「強さ」の話だと思った。

 

 

マイクは声を発することができないがゆえに本意ではないことをしなくてはならない、そして法に反することに手を染めていく。

でも、心まで染まることができなくて、淡々と目の前のやるべき仕事をする。当面生き延びるために。

 

いつもどこかでアメリアのことを考える。絵を描く。そして次の仕事をする。

でも、悪事を好んでいるわけではない。

マイクの心の中の良心がいつもちゃんと機能していて、闇の世界にいながらアメリアのいる光の世界につながっていようとする。

お金さえあればいい、より高い報酬を手にすればいいと物質に心を奪われたら自分の才能を高く売り続けることができたかもしれないし、アメリアの存在もやがて薄れていったかもしれないけれど、マイクの心の根っこがそれを許さなかった。

 

命さえあればいつかきっとアメリアに再会できるはずだと信じるから、どんなにひどい現場でも「ここを出るためにはどんな手段が必要だ?」と冷静に考える。考える。思考する。

 

 

とかく感情的にありがちな世の中で、

目的のためにしっかり思考する態度がとてもうらやましかった。

そして、アメリアを信じ続ける心も。

どんなに遠回りで面倒な手段でも、アメリアに「ぼくはここにいる」と伝えようとする気持ちの強さがとても眩しく映る。

 

 

話せない、というハンデがあるから違うやり方を模索して手に入れるマイク(彼の場合は絵を描くことを使う)。

十分すぎるほどたくさんの手段や能力を当たり前のように持っている私たちは、

自分のもっているシンプルな能力や手段に感謝してきちんと使うべきだなと思った。

使っていない能力が、まだまだ眠っている。

 

 

とてもいい話でした「解錠師」。

長編に挑戦した方には、ぜひおすすめです。

 

 

翻訳モノを昨年からけっこう読み始めたのだけど、訳者によって読みやすさ、読みづらさに差がでることがわかり、この訳者さんはとても読みやすかった。

訳者で読む本を決めるということもやってみようかな。

 

 

God bless you!