あんなに咲き誇っていたツツジも、もうみんな枯れてしまった。梅雨がもう来る。
モンシロチョウが退屈そうに、季節外れのタンポポをつついている。
信号でUberEATSで働く青年と一緒になった。特徴的な後ろの立方体の蓋が開いている。
声をかけようかと少し思ってやめた。途端に信号が青になり青年は風と消えた。
私はこの時期の緑が好きだ。濡れたような濃い色をして、どの木を見ても少しずつ違う。
幸い私の家の近くは都内だが緑地が多く、駅までの道をついキョロキョロしながら歩いてしまう。
目に入ってきた情報から、常に新しいものを感じ取れていなければ、その人は死んだも同じだと思う。
世界から新しいものを汲み取れなければ、たちまち日々のルーティンに組み込まれて、脳が死んでしまう。
実際、肉体が死ぬ前に脳が死ぬことがあるというが、私は脳だけは、肉体が死んでも生きていたい。
そんなことを考えながら進んでいると、先ほど風になった青年がガードレールの上に小さくなって、朝ごはんを食べていた。
やはり注意など必要なかったのだ、と私はひとりごちた。
今日はどんな新しい配牌と自摸に出逢えるだろうか。