最高視聴率45.3%を叩き出した国民的ドラマ。
韓国ドラマの定番要素でもある、記憶喪失、交通事故、不治の病、ラブライン(四角関係)などのエッセンスを、繊細かつ丁寧に20話という短い話数の中で取り入れています。
本作品の見どころは、大きく分けて以下の3点ではないでしょうか。
1.クォン・サンウとシン・ヒョンジュンの2つの愛
2.子役と大人の違和感がない
3.今聞いても色褪せないOSTと演出の妙
まず1つ目。クォン・サンウ演じるチャ・ソンジュの、ヒロインに対する一貫した愛情が視聴者を安心させる。どんなことがあっても、ヒロインを待ち続けるブレない姿勢は本当にほっとさせられる。また、大企業の社長として仕事をこなす姿を見せたかと思えば、時折見せる切ない表情や嬉しそうな笑顔とのギャップが視聴者を虜にして離さない。
一方で、シン・ヒョンジュン演じるハン・チョルスは、ヒロインを温かく見守る兄として、クォン・サンウとは違った愛情の形でヒロインを支える。兄として、また1人の男として、ヒロインを愛してしまったが故に抱える苦悩、自分自身と向き合う姿が丁寧に描かれており、共感させらること必至。
チャ・ソンジュとハン・チョルス、この2人のヒロインに対する愛情が、全編通して一貫していることが安心感を生みだし、後に紹介する悪役を、より際立たせることになる。
次に2つ目。韓ドラを語る上で幼少期と成人期に違和感がないことは、とても大きなポイントの1つ。そういった点から見て、主要キャストを演じた子役と大人のキャスティングは本当にお見事。
ヒロインの子役には本作品がデビュー作となるパク・シネが出演、イジメに耐えながらも、一途に主人公を想い続ける役を好演し、ドラマに緊張感を持たせています。彼女のインパクトを持たせた演技が、後の大人編へと見事にバトンタッチされ、その面影を違和感なくチェ・ジウが好演。物語に自然と感情移入できる。
そして本作品での演技を評価されたパク・シネは、のちに『美男ですね』や『相続者たち』、『ピノキオ』などでヒロインを演じ、トップスターの仲間入りを果たすことになった。
また、主人公の幼少期を演じたペク・ソンヒョンも、幼いころから財閥の後継者として育てられながら、ヒロインを一途に想う少年を熱演。強烈な印象を残している。そして彼も本作品で高い評価を受け、『愛は歌に乗って』など数々の話題作に出演している。彼も同様に、幼いころの面影や雰囲気をクォン・サンウが引き継いでいる。
そして、忘れてはならないのが、シン・ヒョンジュンの幼少時代を演じたイ・ワンである。
ある出来事から、生まれて初めて、人の優しさと温もりをヒロインから感じ、不器用ながらも、ひたすらヒロインを想い続ける姿は気持ちが温かくなる。実はこのイ・ワン、劇中で悪女を演じたキム・テヒの実弟なのである。その不器用さと、一途さは大人編のシン・ヒョンジュンに脈々と受け継がれている。
そんなイ・ワンの妹役として、ヒロインをとことんまで追い詰めた悪女、キム・テヒ。その眼力と、ヒロインを食うほどの迫真の演技は、最後まで緊張感を持たせ、ドラマを大いに盛り上げてくれる。彼女も本作品でデビューし、その後は『アイリス』、『チャンオクチョン』、『ヨンパリ』など、トップスターの仲間入りを果たしている。
キム・テヒの母親役を演じたイ・フィヒャン、母娘揃っての徹底した悪役ぶりが、物語をより引き立たせていることも補足しておかねばなりません。
そして、3つ目。韓国ドラマでOSTが素晴らしい作品は数多く存在する。そんな中でも、本作品は曲が流れるタイミングが絶妙に素晴らしい。主題歌である『보고싶다』(原題『会いたい』)は、「人は自分の気持ちには逆らえない」という、このドラマの本質を見事に捉えている。まさに演出の妙ではないでしょうか。
また、ロケ地としてキーポイントとなった舞衣島の『ハナゲ海岸』には、撮影で使用されたピアノや家などのセットが今もなお残っており、ドラマ終了から15年以上たった今でも、韓国国内はもちろん、日本や海外からも、そのセットを一目見たいと観光客が訪れている。劇中、クォン・サンウさんが弾くピアノの旋律は、とても綺麗な音色で必聴である。
大きく分けて3つの見どころをご紹介させて頂いたが、本作品には学びも多い。
その一つに、「人は自分の気持ちには逆らえない、逆らってはいけない」という強いメッセージがある。いくら頭で割り切ろうとしても、自分の気持ちは抑えられるものでもなく、己を苦しめるだけ。大事なことは、「自分の気持ちを確認し、素直に従うこと」という学びが、作品を通して込められています。
最後になりますが、登場人物たちの心に残る名ゼリフを紹介します。
①愛には別れがあるけれど、友情は永遠だ(チャ・ソンジュ)
親友という形であれば、会いたい時にいつでも会える。辛い時、そばにいてあげられる。何でもしてあげられる。だから、一番の親友になってほしい。
前半の山場として、ユリとの政略結婚を受け入れるしかない現実から、愛情ではなく友情という形で、ジョンソと向き合うことにした、ソンジュの切ない思いが込められています。
②自分より愛する人を見つけること(チャ・ソンジュ)
自分には夢が3つある。一つ目は自分の会社を最高の企業にすること。2つ目が、みんなの夢を集めた天国として遊園地を作ること。そして3つ目がこのコトバ。
お金よりも、自分の会社よりも、そして自分よりも愛する人を見つけて幸せになることが大事。ソンジュ本来の優しさから出たコトバだが、人を思いやるという意味において、自分よりも愛する人を見つけることこそが、本当の幸せであるという本質を語っています。
③私が明かりを消すと、世界が真っ暗になる(ハン・ジョンソ)
世界が暗いと思えば暗くなり、反対に明るいと思えばそう思えてくる。大事なことは、目に見えるものではなく、己の考え方次第という意味が込められています。