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 翌朝は予定通りに4時半に起床し、ジフィーズを戻して朝食を取るが、寒くて6時半まで寝ることにする。7時前にビバーク地を出発し、4段目滝の釜の前に向う。4段目の滝はチムニー状の45mの滝で、滝身はとても登れそうにない。ルートは泳いで右岸のクラックを登るのだが、この寒さの泳ぎは勘弁して欲しいと内心思う。先に見に行ったGさんが「引き返そう」というので、ほっと安心する。ビバーク地まで戻って、その上の岩尾根を登ってブッシュの生えた凹角に出る。Gさんによると先のクラックを登って行くとここに出るそうだ。ここは私がリードで、凹角から更に凹角状のブッシュ斜面をステミングで登り、滝に向ってバンドをトラバースしたところの立ち木でピッチを切った。そこから谷へクライムダウンできそうだったが、念の為、懸垂下降で3段目滝前に降り立った。
 3段目の滝は周囲をぐるりと井戸底のような壁に取り囲まれて、降り立つとひんやり冷気が漂っていて背筋がゾクゾクする。弱点は滝右手の壁で、クラックが数本走っているが、いずれも上部で消えている。ここをどう処理するかがこの滝クリアのポイントだ。このピッチはコージが果敢にもリードを引き受けることにした。
 まず、コージとGさんが釜に飛び込んで対岸のチムニー向かって泳いで行く。チムニーに這い上がった所でGさんがビレイし、コージは一段上がったバンドからクラックに取り付く。ここはカムを二個決めて順調に登って行くが、クラックをそのまま直上できないのか、カンテ状の岩を周り込んで滝身へトラバースする。そこからスラブ帯に入るのだが、飛沫で濡れていて悪そうだ。残置は見当たらないらしく、そこでコージは2本ボルトを打ってこの恐怖のスラブを切り抜けて、垂壁下の小テラスでピッチを切った。Gさんと私はユマールで登ったが、トラバースでの回収が煩わしかった。垂壁も再びコージがリードで、ここはしっかり残っていたボルトにアブミを掛けて、滝の頭に登り出た。