前回からの続きです。

敵組織のざっくりとした設定が決まりましたので次はキャラ設定ですが、いったん違う話を差し込ませてください。

 

以前の記事でお伝えしたように、ミスティックウォリアーズのルーツはショーコスギの「Enter the  Ninja」です。この映画に出会えたからこそミスティックウォリアーズが生まれたと言っていいと思います。しかし、それが全てというわけではないのです。

 

ショーコスギのニンジャ映画から感じ取ったものを、ミスティックウォリアーズの、あのテイストに、あの世界観にまで昇華させた、言わばキーパーソンがいたからこそ、「あの形」のミスティックウォリアーズが出来上がったのです。逆に言うと、このキーパーソンがいなかったら凡百のニンジャアクションゲームで終わっていたと思います。

 

ここからはミスティックウォリアーズの世界観構築のカギを握ることになった、何人かのキーパーソンに注目する形で書いていこうと思いますが、まずはその人たちの立ち位置を説明するため、職場としての当時の開発2部について振り返っていきます。

 

まず職種についてですが、開発2部のゲーム開発者にはプログラミングを担当する人と、絵を担当する人がいました。前者は部内で「ソフト」と呼ばれ、チームのソフトのまとめ役がソフトリーダーと呼ばれていました。そして後者は「キャラ」と呼ばれ、チームのキャラのまとめ役がキャラリーダーと呼ばれていました。「キャラ」はさらに「OBJ(オブジェ)」の担当者と、「VRAM(ブイラム)」の担当者に分かれていました。これはコナミのアーケードゲーム基板の仕様書の記述に端を発する言い回しだと思います。オブジェとはPCや家庭用のゲーム機などで言う「スプライト」のことです。自機のように動き回るものはこのスプライト機能を使って表示します。一方で背景のように動かないものはVRAM機能を使って表示します。

出世のコースとしては、まずソフトリーダーかキャラリーダーになって、そのときのチームリーダーから一本立ちのお墨付きをもらえたらチームリーダーになって、自分のやりたいタイトルを作れる、という感じです。ちなみにタイトルというのは、そのゲームの名前という意味もありましたが、「企画」とか「プロジェクト」という意味合いでも使われていました。

 

さて、一人目のキーパーソンですが、キャラリーダーのYさんです。この方がかなりぶっ飛んだセンスの持ち主だったのです。ミスティックウォリアーズでは5人の中から自キャラを選べますが、YouTube動画を見ても1,2を争う人気があるのがブラッドです。このブラッドというキャラ、角刈りグラサンの黒人が法衣みたいな変な服を着て、赤フンをチラチラさせながらでっかい数珠を振り回してるんですよ?

しかもエンディングでは号泣してるし・・・

 

 

いかに「アメリカ人が勘違いしたアメリカンニンジャ」というコンセプトがあったにしても、あんなキャラ普通は思いつかないですよ。そりゃボンバーガールの作者さんも弄り倒したくなるでしょう。

それを普通に思いついちゃうのがYさんだったのです。

次に続きます。