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        三木句会ゆかりの仲間たちの会:太田酔子さんと樹 水流さんの往復書簡

 

       水流さんの展覧会感想文に酔子さんが読後感をメールで送られました。

       そのお返事が水流さんから。お二人の往復書簡をこのブログの読者の

       みなさまとも共有させていただくことにしました。(遊子)

 

 

       水流さま

       お久しぶりです。三木ブログを訪ねて水流さんの久しぶりの消息に

       うれしくなりました。

       ヒルマ・アフ・クリントを教えていただいてありがとうございます。

       まったく初めての名前でした。早速近代美術館のホームページを見ま

       した。

       まず驚いたのは最初期の「ポピー」その緻密さに技術の高さを実感

       しました。でも、ここまでの存在は驚異に当たらないのかもしれません。

       通常では踏み入れることのできないスピリチュアリズムや秘教的世界、

       神智学や人智学に呆然としながら、最終章までたどって、そこにある

       「無題」と題する絵にもう一度ハッとしました。イギリス文学の中で

       大きくてしかも特異な詩人・画家であるウィリアム・ブレイク(1757~

       1827) を彷彿させる絵だったからです。彼もまた、幻視者(Visionary)

       と呼ばれます。

       ヒルマ・アフ・クリント没後80年の今、なるほどおっしゃる通りの

       意味合いがあるのだと納得しました。水流さまがヒルマ・アフ・クリント

       の生涯の試みに、今を生きる私たちの捉えどころのない不安感を重ね

       合わせ、自らの試みとして答えを探しておられるのだと思います。

       魂の安らぎの問題と言ってもいいかもしれません。

        純粋な精神世界のことに立ち返らせてもらえたことに感謝です。     

                                   酔子

 

       酔子さま

 

       感想をいただき大変嬉しく思います。

 

       会場には海外からの観光客が多く見受けられ、海外での評判の高さを

       そんなところから感じました。稀な展覧会でしたので、直接目にする

       良い機会となりました。

       特に、会場に掲げられた作品の大きさは実際に体感するしかなく、

       ただ湧いてくるイメージを描いたというだけでなく、彼女の生い立ちに

       父親の数学的素養が大きく関わるように思います。アフ・クリントの

       独特な色合い、均整の取れた中に精神の自由、一度見るだけでは目次を

       読むような理解でしかありませんが、一つ申せば、きっと一生懸命己を

       見つめ、それを表すことを使命としていたのであろうと想像できること

       です。

 

       古今東西、常に未知のものとの対峙がありますね。

       地面は平らなはず‥‥から始まって、見えないものへの探究が叡智によっ

                        て解明されてきました。しかし現在は解明から加速度的に歩みを進め、

                        発明が日常に染み込み、知らぬまにその発展に無防備な私は駒としての

       存在なのかと不安になることがあります。ヨガ教室が流行り、心身に目

       をむける時間を必要としている人が多いのもわかります。文末にも書き

       ましたが、自分という存在をどこに開放するか、バランスの取れる時間

       と空間が必要に思います。

 

       ウィリアム・ブレイク、私も探してみます。

       ありがとうございました。   

                                 水流

 

 

 

                                  photo: k. mukumoto

                              手から手へあやとりの川しぐれつつ    渋谷  道