Vtuber電脳少女シロ主演によるワンシチュエーションサスペンス映画「白爪草」が東京大阪の2劇場において上映開始されました。

 Vtuberファンであり豆腐(主演である電脳少女シロのファンネーム)である私は映画主演の情報が告知された時から絶対に見に行くぞと決意の元、初日の上映に参加。

豆腐であるという部分を除いても全キャストVTUBERによる完全書下ろしワンシチュエーションサスペンスという字面にとても惹かれました。

 ワンシチュエーションと言いますとスケールが小さい、登場人物が少ない、限られた空間で物語が完結するetc…。要約するととてもコンパクトであると言えます。

その分、カメラアングルや狭い空間での心理描写などの工夫が用いられます。その例に漏れずこの「白爪草」にも随所に活かされており、観ていて飽きず、物語に浸ることができました。

花や瞳、小物をフォーカスするカットが多かったように感じます。そういったカットも少し意識するとより楽しめるかもしれません。

 

 見終えての感想、まず一言「すごかった」

これは観終えた人が口々にしていたと思います。自分は2回目の上映からの参加であるため大阪の初回上映は私が来た時にはすでに終わっておりました。当初ツイッター上ではネタバレ防止のためあえてふんわりと表現としているのだろうと思いましたが、私自身劇場を出ての最初の感想が「すごかった」でした。あまりの衝撃と観終えての感想を上手く言葉にできませんでした。それくらい衝撃的でした。

ぜひこれから見る人たちにもこの気持ちを味わってほしいなと思います。

またこの作品では全てVtuberがキャラを演じておりますのでVtuberとしての彼女ら前知識等は一切必要なく(知っているとクスッと笑える場面もあります)、ひいき目なしに一般の人でも楽しめるものとなっております。

むしろ一般の人に見てほしいので私自身Vtuberを知らない知り合いを誘ってみようと思います。

 

 

 

 

 

・ストーリー

 

 

 

《フラワーショップ花組》で働く白椿 蒼は、

店主のもとでごく普通の静かな日常を送っていた。

 

 

ところがそこに、服役を終えた双子の姉妹・白椿 紅から6年ぶりに会いたいと連絡がくる。

カウンセリングを受けながら日常を過ごしてきた蒼は、カウンセラー・桔梗に相談し、意を決して姉妹の再会を決意する。

 

 

《フラワーショップ花組》を再会の地として、花々に囲まれた一室で紅の来訪を待つ蒼。

再会の不安から落ち着きのなかった蒼は、紅から逃げるように帰宅を考えるが、その時チャイムが鳴った。

 

 

6年前、姉妹に一体何があったのか。

そして再会を果たした2人は何を話すのかー。

 

 

それぞれの想いが交錯しながら姉妹の人生が大きく動き出す

 

〈公式サイト様より引用〉

 

 

 

https://www.sirotsumekusa.com/

 



 

 

 

 

          以下、ネタバレを多分に含む感想・考察を綴っていきます。















シンジツガ ミエマスカ?






 



「感情表現において、人間の表情筋からなる繊細な表情に劣るとの指摘を受けてきました。本作は、VTuber特有のシリアスな表現の難しさを、制作側が理解し、演出において配慮することで、サスペンスとして違和感なく成立させています。」ということから私はそういった映像、演出の視点から少し意識して観ていました。

 花屋だけあって花が彩りよく飾られとても綺麗です。
花屋の照明のおかげか薄ぼんやりとオレンジがかった空間が印象的でしたね。陰鬱な本編において少し明るく不気味さがあったかもしれません。
 不気味さという部分では冒頭に書きましたカットですね。体の一部や花のアップが多分に用いられてました。また机を隔てる大きな花たち、その隙間から相まみえる2人の演出が印象的でした。
あの場面角度や影で二人の顔がしっかりと見えません。あえてよく見せないことで紅に対する蒼の怪訝な様子を表しているのだろうか。
 また、この場面思いかえすと花の壁と隙間、刑務所の面会室のように思いました。罪を犯したものとそうでないものの境界のように感じられました。
心の壁とも表現できるかもしれません。蒼は花を外すのを拒否しています。死体処理を誤魔化す仕掛けでもありますから拒否するのは当然であると思いますが。
見終えた後にハッと気づいてすごく鳥肌が立ったのですが、冒頭の飛ぶ蠅と紅に叩かれる蠅は蒼の死体処理の腐臭によってわいたものだったんですね。些細な場面かと思ったら伏線で度肝抜かされました。
 
 ずっと気弱で紅に対して怯えていた蒼が見せた「私より花が好きじゃない」というセリフにゾクッとしました。あの時見せた強気な彼女が素の彼女なのだろう。
 入れ替わりの際の紅の真似をする蒼とほほ笑む紅を見てこれが本来の姉妹なのだなと思いました。これが続けばよかった…。
 幸福を得た紅が高笑いする場面は上からのアングルも相まって一番好きなシーンです。シロちゃんの演技もまた素晴らしく幸福を蒼から奪い取り愉悦に震えるような心の底からの高笑いは圧巻でした。ここで大きなのっぽの古時計が流れてフフッっとなりました。豆腐へのサービスかと思いますが、場面とマッチしてましたね。

 どんでん返しの連続で終盤の怒涛の畳みかけは鳥肌が立ちました。最後の引継ぎである蒼の遺した日記、最初は悲壮感を漂わせるありがちなもので蒼ちゃん可哀そうと感情移入させるものだと思っていましたが語られる蒼の殺人と紅への歪んだ感情、最初から随所に散りばめられた伏線の回収…一気に雪崩れ込んできて圧倒されました。殺人の自白からは一呼吸入れる間もないくらい冷淡にそれでもって紅に対しての愛おしさが語られていました。「証拠を残したのに」の場面でフォーカスされる爪で思わずうわぁ…と小声で言ってしまいました。蒼の狂気がよく表されていて怖かった場面です。歪んだ慈愛に満ちた蒼と全てを知り崩れ発狂する紅の演技も素晴らしかったです。
 入れ替わった後の幸福で舞い踊る紅の場面で花びらが舞い落ち、最後の発狂する場面では花びらが舞い上がってます。この対比がとても美しかったです。蒼の言っていた荷物(重荷)を表現したのかもしれないですね。
また、ここで重要視したのは本当に蒼は死んだのかということです。ドクニンジンソウについて調べてみました。花言葉は死、裏切り、悪意とまあとにかくやばいもので花自体は全草有毒という花の先から根まですべて毒を含む恐ろしいものでした(余談ですがドクニンジンソウは見た目可憐な小さな毒花、対してホトトギスは見た目が毒々しいですが普通の花みたいです)。哲学者ソクラテスは花の種子を絞った毒杯を飲んで死んだといわれているようでこれらを踏まえ蒼は毒死したと思われます、がしかし警察から届けられたブローチは焦げていました。これがパンフレットで書かれていた余白の一つかもしれないですね。解釈の余地が随所にありとても面白いですね。こういった思考をユーザーに委ねる作品が個人的には好きなので好きな映画です。
Cパートの花からのぞき込むのはいったい誰なのか…私たち視聴者には紅と蒼の違いは声色と紅のつけたピアスです。ですが最後は映りません。続きを暗示させつつも恐怖、不気味さを残したエンドはとても素晴らしかったです。

        「生きているのかも死んでいるのかも分からないまま泣いている」

 エンドロールで流れた「狂い花」は作品を象徴するような陰鬱とした曲調と歌詞で見事にマッチしていました。映画観る前と後とで曲の印象変わりますね。

 出演されたアイドル部についてですが、皆の個性を生かした最高のキャスティングだと思います。もこ田めめめちゃん演じる店長さんはあぁ店長っぽいなとひと聴きでわかる演技でした。個人的に店長は蒼の殺人について知ってたんじゃないかなぁと思ってます。イオリンはイオリンでしたね(笑)。陰鬱な空気の中にふわっと日常が差し込む感じがして微笑ましかったです。ただあの電話がなかったら紅と会ってなく蒼はそのまま自殺してたかもしれないのである意味重要キャラかもしれません。花京院ちえりちゃんは演技上手くてエンドロール見るまでちえりちゃんって分からなかったです。うわぁ色っぽい女性だなぁと思って聞いてました。神楽すずちゃんはバイトっぽい、というかバイトでした(笑)。短いセリフながらも存在感ありました。カルロピノちゃんが演じるカウンセリングの先生はすごいの一言でした。作中ある意味一番狂ってたかもしれません。自身の掲げるもののためなら騙し、刷り込みなんでもござれのキャラで無機質な感情のないキャラを見事演じていました。まさかここまで重要キャラクターだと思っていなかったので驚きの連続でした。

 長々とストーリーに沿いつつ書き連ねましたが総合して映像、演出、演技力全て素晴らしかったです。ただ一つ言うとしたら冒頭の蠅、人によっては酔います、僕も若干酔いました(笑)。
 リピートしてみると新たな発見があるかもしれませんので近いうちもう一度観るかもしれません。
 70分のワンシチュエーションサスペンスとしてかなり見応えがありました。素晴らしい作品を創られた西垣監督、宮川プロデューサー、脚本の我人様、スタッフ様、出演者のアイドル部ありがとうございました。

 シロちゃんの長年の夢が叶ってよかったです。大きな舞台と主題歌を最高の場で堪能できました。シロちゃんの歩んできた軌跡が生み出したものです。ここまで来るのに大変な苦労もあったでしょう、映画が決まり役を演じていくプレッシャーは僕では計り知れないものだと思います。それらを超えて素晴らしい作品が世に出ました。映画発表のときの感極まったシロちゃんの姿を忘れません。あなたがいたからこそ生まれた作品です。いち豆腐として誇りに思います。
エンドロールでシロちゃんの名前が出たとき泣きそうになりました。間違いなくあなたは映画の主役で女優でこの映画の歌手です。
何度も言いますがシロちゃん、最高のプレゼントをありがとうございました。


 こういった文を書くのは初めてなので非常に読みにくい文章で大変申し訳ないです。映画見終えた人がそういうのもあったのかといった発見につながればいいと思います。
読んでいただきありがとうございました。