神に至る道
嗅覚神経の話
五感のうち嗅覚だけは全く別物といっていい
四感覚と一古代感覚と言った方がいい
人間の感覚の内
これまでの四感は網様体賦活系という脳の場所で処理されるが
嗅覚だけは扁桃体と海馬に直結している
記憶と感情を司る部分
そして生い立ちとしては一番古くからある経路
つまり人間は匂いの反応には逆らえないようにできている
生命の危機に関数する事柄も嗅覚で判断する
口に入れる前に匂いが先に鼻にはいるようになっている
腐った匂い
毒の匂い
何かおかしい匂い
それらが本能的に「不快だ」とわかるのは古代の記憶と結びついているから
DNAの何万年の記憶に紐づいている
ひとつは生命保持のため
もうひとつは未来の可能性のため
未来の可能性のための匂いって何だろう
無自覚かもしれないが
恋は
ハートでするものではなく
鼻でするものだということをご存じだろうか
どんなにかっこよくても
どんなにお金持ちでも
どんなに評判がよくても
「生理的に受け付けない」という言葉がある
この生理的の正体は嗅覚である
いち早くこのことに気づいたのは西洋の香水文化だ
匂いを騙すことで恋敵を騙ます
なんとも古典的でストレートな手法だろうか
そしてなんと効果的な方法であることか
女性の後ろ髪と残り香だけ恋に落ちたことがあるんじゃないか
さらに本質を言うと
香水なんてつけるまでもなく
人間の嗅覚はフェロモンというか匂いにも感知できないような情報を読み取っている
勘が働く
の勘は鼻のことである
鼻が利く
と同義語である
善人と悪人を判断しているのではなく
太古の記憶に照合して
自分にとっていい思い出の人か苦い思い出の人かを識別しているのだ
ここまではなんとなく思いあたる節のある感覚だろう
ポイントはさらに一歩奥へいく
いい思いと苦い思いを古代の記憶ににさかのぼって識別できるなら
自分の最もいい状態のフィーリングも召喚できるはずだ
こんな経験はないだろうか
この匂いを嗅ぐとなぜだか気分がよくなるという体験
でもそれは他人は必ずしも同じ匂いでテンションが上がるわけではないというもの
数万年のフィジカルの体験の中から最も両立なスピリットの状態を嗅覚に記憶しているのである
前世的な転生を含めて
自分史上最高の自分のコンディションに到達する最短の方法
それは最高の香りを見つけ出すこと
あなたにとって一番好きな香りは何だろうか
きっとこれと明確に応えられる人は少ないかもしれない
でもこれは好きなタイプの異性を明文化するよりも
よっぽど価値のある知識となる
世界一の匂いをみつけてほしい
その匂いを嗅げばどんな時も最高の気分になれるような
図書館の古びた膨大な本の匂い
朝靄の霞の植物のあくびの匂い
満月の夜の眉間を貫く風の匂い
愛する人の髪の裏側の地肌の匂い
あなたにとっての最高の自分を蘇らせるタイムカプセルはどんな香りだろうか