室町時代に申楽と、あまり馴染みのない舞台設定である本作。ですが根本にあるのは狂乱やロック心。果てしない人間の欲望など現代と変わらぬものばかりです。ロックバンド女王蜂のボーカルアヴちゃんと、大河ドラマいだてんにて流暢な語り部を務めた森山未來さんの熱演に圧巻。1970年代から80年代のロックを意識したということもあり、そのエッセンスも音楽に鏤められているのもニヤニヤできるポイント。そこに手書き作画と3Dがぐるぐる組み合わさって目が離せないと作りとなっています。脇を固める松重豊さんと柄本佑さん、津田健次郎さんらもどっしりとした演技で作品を盛り上げ、人間の浅はかさを魅せています。同じアニメスタジオが制作した平家物語ともリンクした部分があるため、併せての鑑賞をお勧めします。