今回は羊水過多に伴う症状や合併症について見ていくことにします。羊水過多は、妊娠中・分娩時のみならず破水時や分娩後にも様々な合併症を引き起こします。羊水過多のために腹部膨満感・呼吸困難・悪心・嘔吐などの症状を伴う場合を羊水過多症と呼んでいます。
A 妊娠中・分娩時:羊水過多では羊水の増加によって子宮が過度に増大するため、様々な症状や合併症を呈することになります。
①子宮底の増大:腹部膨満感・呼吸困難・悪心・嘔吐などの原因となります。
②子宮下部の過伸展:妊娠中の切迫早産・分娩時の微弱陣痛・遷延分娩の原因となります。
③胎胞の菲薄化:前期破水の原因となります。
B 破水時:羊水過多では破水により大きな子宮が急激に小さくなるため急激な子宮収縮を招くことがあります。また、羊水過多では胎児が羊水中で浮動しているケースが多々あります。
①急激な子宮収縮:常位胎盤早期剥離や過強陣痛の原因となります。
②児頭の浮動:胎位・胎勢異常や臍帯脱出の原因となります。
C 分娩後:羊水過多により子宮は増大し、過伸展となっているため子宮収縮・子宮復古が妨げられます。
①弛緩出血:子宮が過伸展状態になっており子宮筋の収縮力が弱くなります。このため分娩時の出血が多くなりがちです。
②子宮復古不全:羊水過多で過度に大きくなった子宮の復古には時間がかかります。
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