(2)腹腔鏡検査
腹腔鏡を用いて子宮・卵管・卵巣および腹腔内の状態を直視下に観察する検査法です。
腹腔鏡検査における卵管の評価は、次の3点です。
①卵管の全体像を把握
卵管周囲・卵管采の癒着状況(癒着の有無・性状(フィルム状または強固)・範囲・片側または両側・原因)を評価します。
また、卵管留症(留水症・留血症)の有無・大きさ・卵管壁の肥厚程度を確認します。
②卵管巣通性の確認
外子宮口からインジゴカルミン(人体に無害な青色の色素です)を注入して、腹腔内に排出されるインジゴカルミンを直視下で確認することで、卵管の通過性を確認します。
③腹腔内洗浄液で卵管を浮遊させ卵管采の内腔ひだを観察
内腔ひだの菲薄化・消失がないかどうかを評価します。
これらの3点について異常を認めない場合には卵管因子はないと判断します。
(3)卵管鏡検査
卵管疎通性検査や腹腔鏡検査では、卵管の疎通性の有無や卵管の外側の病態を判定することはできますが、卵管の内腔の状態を評価することはできません。卵管鏡は直接卵管内腔を直視下に観察することができ、状態によっては卵管の疎通性を回復することができる検査法です。
アプローチとして卵管鏡を卵管采より挿入する方法(腹腔鏡あるいは開腹手術が必要になります)と経頸管的に子宮卵管角部より挿入する方法(腹腔鏡あるいは開腹手術は不要です)があります。卵管閉塞に対しては、卵管鏡下卵管形成術(FT:falloposcopic tuboplasty)が行われます。
B)卵管性不妊の原因
卵管不妊症の原因としては、感染・子宮内膜症・開腹手術後の癒着などがあげられます。
付属器炎(卵管・卵巣の感染による炎症です)は周囲に拡大して、卵管周囲の癒着や卵管閉塞を招きます。
卵管采部(卵管の先ラッパのような部分です)が閉塞すると、炎症性の浸出液が卵管内腔に貯留し卵管留症になります。卵管内腔に貯留するのが液体や粘液であれば卵管留水症・血液であれば卵管留血症・膿瘍であれば卵管留膿症といわれます。
付属器炎のほとんどが膣からの上行性感染であり、性交渉や子宮内操作(人工妊娠中絶など)が原因となります。最近は性感染症の蔓延が懸念されています。骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)への拡大は、卵管性不妊を増加させる危険につながります。
同様にして子宮内膜症・開腹手術後でも卵管周囲の癒着や卵管閉塞の原因になりえます。
卵管の疎通性や可動性に影響を及ぼす因子としては以下のような病態があります。
①卵管周囲癒着
②卵管采癒着
③卵管閉塞
④卵管間質部閉塞
⑤卵管留症(卵管留水症・卵管留血症・卵管留膿症)
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