妊娠高血圧症候群の予防法 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

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 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 妊娠高血圧症候群の原因は未だに解明されていません。また、妊娠高血圧症候群の発症の予知法もありません。こうした現状の中での、妊娠高血圧症候群の発症予防は容易ではありません

 古典的でかつ有名な予防法に①低用量アスピリン療法と②大量カルシウム療法があります。

低用量アスピリン療法
 妊娠高血圧症候群の発症のリスクが高い妊婦さん(前回妊娠高血圧症候群・多胎妊娠・慢性高血圧合併妊娠・糖尿病合併妊娠など)に、小児用バファリン®やバイアスピン®といったアスピリン製剤を少量(1日0.5~1錠)内服させる方法です。

 妊娠13~26週の妊娠高血圧症候群発症前から内服させたとしても妊娠高血圧症候群の発症率を低下させることは出来ないことが分かっています。もちろん妊娠高血圧症候群を発症してから内服しても治療効果はありません。

大量カルシウム療法
 妊娠高血圧症候群の発症のリスクが高い妊婦さん(前回妊娠高血圧症候群・多胎妊娠・慢性高血圧合併妊娠・糖尿病合併妊娠など)に、大量のカルシウム(1日2g程度)を経口補充する方法です。

 妊娠13~21週の妊娠高血圧症候群発症前から経口補充したとしても妊娠高血圧症候群の発症率を低下させることは出来ないことが分かっています。もちろん妊娠高血圧症候群を発症してから内服しても治療効果はありません。

 ①と②の予防法は現在なお一部の病院・クリニックあるいは産婦人科医によって行われています。しかし、残念ながら予防法にはなりません。

 その他に③トロンボキサンA2合成阻害薬(ドナメン®)を400mg/日・分4で内服するオザグレル療法、④マグネシウム摂取、⑤亜鉛摂取、⑥EPA(エイコサペンタエン酸)摂取、⑦抗酸化作用を有するビタミンCやビタミンEの摂取、⑧漢方療法などが妊娠高血圧症候群の発症を減少する効果があるといわれています。しかし、大規模調査で有用性が確立した予防法とまでは言えません。

 つまり、現在までのところではエビデンスのある効果的な妊娠高血圧症候群の予防方法は残念ながらないことになります。

 妊娠高血圧症候群の治療の項目でも記載したとおり、妊娠前・中の体重管理・食事管理が何にも勝る妊娠高血圧症候群の予防方法になりそうです。
 http://ameblo.jp/sanfujin/entry-10763904010.htmlです。参考にしてください。

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